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夢野久作さんの『瓶詰の地獄』を読みました。










「この切っ尖であんたの心臓をヒイヤリと刺しとおして、




その血のついた刃先を、すぐにズブズブと妾(わたし)の心臓に突き刺して死んで終おうと思っているのよ




トテモ気持ちのいい心臓と心臓のキッスよ。」








全部もっていかれた。








グロテスクな描写や、理解しがたい愉楽に、戦慄を覚えた。







それでも、それでも、読み進めてしまうのは、

普段は眠らせている、その残忍な欲望と、刹那の憂鬱を解き放ってみたい、

という自由への憧れがあるからだと思う。







短編の「人の顔」を気味悪がったあたり、私はもう、ある意味、大人なのかもしなれない。







そう思うと、なんだか、せつない。







いつまでも、空に雲の動物を見つけ続けたいなぁ。