趣味のフィルムカメラ。
大体、1週間に1度のペースで、
おじいさんが営んでいるお店に、写真の現像を頼みに行きます。
店内は、お世辞にも、綺麗、とは言えません。
色褪せた家族写真。
ガラス棚にしまってある、何十年前かの、不格好なデジタルカメラ。
埃をかぶった売り物のアルバム。
私が上京してきた年に出来た、最先端の技術で現像してくれるお店の方が、
綺麗だし、愛想もいいし、現像代も、フィルム代も、本当は、ほんとうは、少し、安いのです。
でも、私が、現像を頼みに行ったある日、何気なく、
36枚撮りのフィルムだったのに、20枚撮っただけで勝手に巻き戻ってしまった、
カメラ壊れちゃったのかなぁ、と呟いたことがありました。
出来上がったものを取りに行った時、
写真が入れてある袋に、文字が書いてあるのを見つけました。
「フィルムの装てんの時に多目に先端を差し込むと
巻取りが太くなり戻ってしまう場合があります。」
「上記の点で問題がない場合は修理をおすすめ致します」
こういう心遣いって、やっぱり、素敵だなぁ、って。
だから、今日も、スタジオでギターを練習した帰りに、
おじいさんのお店に、フィルムを出してきました。
おじいさん。
たまには、笑顔くらい見せて下さいネ。