母が一度、東京に来てくれたことがあった。



寒い冬の日に、買い物に行くと、

スーパーの袋が悴んだ手に食い込んで、少し、痛い。



だから、重いものは、なるべく分けて買うようにしていた。



スタジオでの楽曲制作を終えて家に帰ったら、

あったかいご飯が、私を迎えてくれた。


ふっと見ると、ペットボトルの水が買い置きされていた。


1人で、運ぶには、ちょっときつい本数。


「これどうしたの?」って聞いたら、

可笑しそうに「往復して、買いに行ったよ。」


すごく、不思議だった。


どうしてそこまで出来るのか。


その時期、ちょっと、バタバタしていたから、

何処かに行くこともなかなか出来ず、申し訳なくなって、謝った。


そしたら、少し怒ったように、

「子供の帰りを待って作るご飯って、すごく幸せなんだよ。」って。


よく分からないけど、

「あぁ、この人って、私のお母さんなんだなぁ。」って思ったんだ。



いろんなことがあったけど、

福岡にいた頃より、距離がある分、素直に言えそうです。



お母さん、いつも、ありがとう。