目覚めの良い朝は、窓を開けてぼんやりと外を見る。

窓を開けると、ゴォーって風の音が大きくなったり小さくなったりを繰り返す。

目を瞑ると、貝殻に耳を当てているような感覚に陥って、夏を思い出すんだ。
まだ7月なのに、アスファルトが焼け付いていたあの熱い日のことを。


終業式を終え、大量の宿題と引き換えに、
夏休みという無限の自由を手に入れた僕らは、胸の高鳴りを押さえきれずに
近くのスーパーにスイカを買いに行き、スイカ割をした。



何故、スイカ割をしたのかは、良く分からない、というか分かりたくない。
することなすこと、全てに理由を求めるようになった瞬間から、子供ではいられなくなる気がするから。


水風船をぶつけ合って、はしゃいだ。

名前を呼ばれた気がして目をあけたら、いつも通りの東京の風景だった。

色々な大人に、春休みに会った時、優しい顔で「学校は?」って。

「春休みです。」って言ったら、
なんとも言えない顔で「そうか、そんなのもあったなぁ。」って。

なんか、妙に寂しくなった。