「家起こし」斜めになった柱を直す技術 | 曳家岡本のブログ

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東日本大地震以降、ご招聘いただきましたら全国で曳家・家の傾き(沈下修正工事)、家起こしなどをさせていただいている曳家職人・岡本直也の現場と時々(笑)子どもの悩みを書いているブログです。

千葉県いすみ市の古民家の不陸調整、ほぼ終わりました。

終わりましたが・・やはり柱が斜めになっている症状は改善されませんでした。

 

そこでお施主さんと話しあって「家起こし」工事を行うこととなりました。

この「家起こし」工事については、追加工事を後出しで云うのではなく、初めから、その必要性をご説明しておいて。

沈下修正が終った後で、建物の状況を見て決めましょう。としておいたものです。

金額も先に、伝えてあります。

 

そんなわけで、土壁を全撤去です。

最早、助っ人では無く、「曳家岡本」正規メンバーとなってくれた松嶋さんが、掛けやを使ってきれいに落としてくれます。

そして、狭いところに、この男ありです!

狭いところ大好き飯田くんです。

もちろん、初めから壁を落としておいて工事を進めれば、余分な養生や資材が土にまみれることもないのですが。

お施主さんにとってみれば、進行状況を見ながら判断したいのは当り前です。

落とした大量の土を土嚢に入れて搬出するのも一苦労でした。

 

「家起こし」に詳しくない方のために解説しておきますと、建物を起こす場合、特にこちらのお家のように築100年を越えていると、何度も壁を塗り替えています。

それは、斜めになった柱を固めてしまっているわけですから、採り省かなくては柱は動きません。

 

時々、こうした事情に詳しくない工務店の方から言われます。

「なんとか壁を壊さないで御願いします」

「出来ません」

「そこを何とか上手く誤魔化せませんか?」

「出来ません」

 

白蟻に喰われた梁の抜き替えとかでも同じようなこと言う方がいます。

曳家はまずまず大工さんとはまた違う技術を持ってはいますが、魔法使いではありませんから(苦笑)

 

ps

今回の現場はお施主さまのご厚意で近隣の大工さん、建築士さんも見学にこさせていただいてます。

 

先日は、近くでお仕事されていた宮大工の三木棟梁と新弟子のなべさんが来てくれました!

最早、曳家岡本木工部部長でもある、かつお大工さんを含めて、色々な棟梁が「監視」に来てくださいますので・・かなり丁寧にやってます。

意地張りです(笑)