楠本高子

楠本高子は、フィリップ・フランツ・フォン・シーボルトの孫娘で、楠本イネの娘です。彼女は私生児として生まれ、別名「タダ子」と名付けられました。幼少期は長崎で育ち、琴や三味線、舞などの芸事に熱心でした。

1865年には宇和島藩の奥女中として奉公し、1866年に三瀬諸淵と結婚。夫に先立たれた後、産婦人科を学びますが、修行中に男児を設けたため医業を断念します。その後、医師・山脇泰助と再婚し、一男二女を授かるも、山脇は病死。晩年は叔父のハインリヒ・フォン・シーボルトの世話を受け、東京で母・イネと共に暮らし、芸事の教授をして生計を立てました。


さて、漫画家・松本零士氏が、祖父の遺品の中から楠本高子の写真を発見したという逸話があります。その写真に写るイネの姿は、松本氏の代表作『銀河鉄道999』のヒロイン、メーテルに驚くほど似ていたといいます。 


 それは、単なる偶然の一致以上の意味を持つのかもしれません。  祖父の高子への想いが、何らかの形で松本氏に受け継がれ、メーテルという魅力的な女性キャラクターの創作に繋がったと考えることもできます。  それは、直接的な恋心の伝播というよりは、むしろ、強い女性への憧憬や共感といった感情の遺伝、あるいは、異性に対する審美眼や嗜好といった、より根源的な部分での「隔世遺伝」と言えるのではないでしょうか。🚂✨ 







メーテルの眼(まなこ)濡れたる星月夜999(スリーナイン)は里を離(はな)れぬ をさむ