昭和38年に公開された映画『非行少女』は、厳しい現実のなかで懸命に生きようとする少女の姿を描いた作品です。
舞台は石川県金沢市。15歳の少女、北わかえは、母親を亡くしたあとに父親が再婚したことで家庭内に居場所を失っていました。
学校にも行かず、荒んだ日々を送っていたわかえは、ある日、店での扱いに耐えかねて女給のハイヒールを盗み、そのまま飛び出してしまいます。
そんな彼女が街角で再会したのが、幼なじみで21歳の青年、沢田三郎でした。
職を求めて虚無的な毎日を過ごしていた三郎ですが、うらぶれたわかえの姿を見かねて新しいスカートを買い与え、彼女に勉強を教え始めます。三郎の優しさに触れ、わかえの心には次第に平穏が戻っていきました。
しかし、二人の前には過酷な現実が立ちはだかります。不良グループからの執拗な脅迫や、周囲の冷淡な視線が二人を追い詰めていきます。
ついにわかえは保護機関である教護院に収容されることになりますが、そこで彼女は投げ出すことなく、心を入れ替えて更生への道を歩み始めます。
教護院を出たわかえは、自立して新生活を切り開くため、一人で大阪行きの列車に乗ることを決意します。
金沢駅のホーム。見送りに来た三郎は、旅立つわかえに「3年経って、2人とも独身で、まだお互い好きだったら、その時は結婚しよう」と切ない約束を交わし、一つのブローチを手渡します。
走り出す列車の中。わかえは胸元に飾られた三郎からのブローチをそっと摘みあげ、自分を強く励まし、明日への一歩を踏み出します。
ヒロインのわかえを体当たりで演じたのは、当時15歳の和泉雅子。
のちに日活三人娘としてトップスターになり、後半生には日本人女性初の北極点到達を成し遂げる彼女にとって、本作は大きな転換点となりました。
浦山桐郎監督の、リハーサルなしの本番に挑ませるほどの壮絶なリアル追求に、泥まみれになりながら応えた和泉雅子。
得も言われぬ清楚な美しさと、内なる力強い情熱が奇跡的な融合を見せた本作は、今なお国内外で高く評価されています。🦋✨
和泉雅子さんは、人生を楽しく終わらせたい、と考え、生前葬や永代供養の準備をすべて済まされていたそうです。やがて令和7年7月9日、77歳で永眠されました。
