草加市葛西用水端

十代も終りの頃だったと思う。


友人と外出した。


理由は忘れたが、二人共持ち金がなくなってしまった。


帰りの電車賃もないから、しかたなく浜松町から千住まで三時間程歩いた。


途中、友人を待たせて、レストランのガラスケースのサンプルを覗いている小奇麗なお姉さんに声をかけた。


「腹が減ってるんだけど、金がなくて食えないので、金貸してくれませんか。」


そう言ったら、彼女は、「それなら、一緒に食べましょ。」と、食事に招待してくれた。


その時、デカくて強面(こわおもて)の友人が、現れた。


彼女は、怯(おび)えの表情をみせた。


俺は、友人を連れてその場を離れた。🏘✨






幾十年(いくそとせ)過ぎて忘れず空腹を気遣(きづか)ひくるる人ありしこと をさむ