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去年の夏のことです。久しぶりに、かなり昔の元カノと会いました。

彼女の埼玉の友人の家へ行く途中に立ち寄ってくれたのです。 
彼女は結婚をして、二人の息子をもうけました。

やがて 離婚をして郷里に帰り、母子三人の生活が始まりました。  それからというもの私は彼女から電話やメールでいろいろと相談を受けました。 
同様に私も幾度か相談にのってもらいました。 
私は駅で三人を迎えて、長い距離をやってきた彼等をねぎらいました。 
そのとき中学生の無口な長男が、暗い顔をしました。

私はそれがなんであるかを、瞬時にさとりました。

そして ある記憶が甦りました。  私の両親は私が生まれて間も無く離婚しました。

数ヶ月後に父は母のところへ出向き、跡取りだから と言って(幼児の)私を引き取りました。

片親との別離は世の中によくあることであって、私はそのこと自体は、両親に対して不満を持っていません。

引き取られた私は伯母の家にあずけられ、父が再婚するまでその伯母に育てられました。 
伯母は自分の子でもない私を、良く育ててくれました。

そして私が大きくなってから、母のことをいろいろ話 してくれました。

母が私を失い、悲しみのあまりやけになって遊びまわっていたらしいことも。  

当時の青い私は苦しみました。 

乳飲み子の私に注がれるべき愛情を、異性に向けたのか、あるいは乱れた生活を送ったのかと、強い不安にかられたの です、それが他でもない私に原因があるならばなおさら。

そんな自身の思春期のことを思い出しながら、その場で彼にちゃんと説明をしました、私と彼の母親が友達同士であって男女の関係にないことを。 

彼の顔がほころぶのを見ました。

そして時間がたつにつれて、私を友達として迎え入れてくれるのを感じ取りました。 

後日、結婚相談所で紹介された男性と交際していることを、彼女自身から電話で知らされました(それまで にもそうして何人かの男性と交際をしたそうですが、それは悪いことではないと思います)。 

そのとき私は彼女にその長男の心にあるものを率直に伝えました。

彼が、母親の愛情が男性に向けられのを不安に 思うこと、また女として重い存在でいて欲しいと願っていることを。 

それは子供の単純なジェラシーであることにまちがいありません。

しかしそんな湧きあがる辛い気持ちは、子供の人格形成に影響します。

そんな苦痛が心の奥深くに浸透して悪いものにならな いうちに、なんらかの方法で大人が取り除いてあげるべきだ思うのです。  

長男が母親の異性関係に悩んでいることを、彼女は知りませんでした。

私は、彼女が息子達に、誰よりも彼等(息子達)を愛していることを告げたうえで、母も一女性だから素敵な男性に恋をすることもあり、それは決してやましいことではないとしっかり説明をして、その交際の同意を得ることが必要であると助言 をして、電話を切りました。

そんなときテレビで男性スターを外国まで追いかけて行く主婦達の様子を見ました。 

それはバブル期にあ った軽蔑すべき男達の海外買春ツアーとは違います。

しかし既婚者の品性ある行為とは思えません。 

そんな母親や祖母の様子をみて、小さな胸を痛めている子供や孫がいないでしょうか。 
もしいるならばそれに気付いてあげて欲しいものです。

お母さん方には、子供の嫉妬を、成人のそれと同列に置かずに、子供に説明が出来ないような言動を、慎むよう心がけてくれたら嬉しく思います。

太枝を断たれて垂らす無花果(イチジク)の乳に見知らぬ母を思ひつ をさむ