年齢のせいでしょうか、このごろ、しばしば少時の昔に思いを馳せます。

あまり明るいとはいえない家庭環境にいましたが、街は今にない魅力的な自然を、見せてくれました。

東京のわが下町は、現在に比べ、多くの緑がありました。

あちこちの家が玄関脇の箱庭のような狭い庭に、1、2本の樹木を植え、アパートも小規模の緑を、飾っていました。

そんな木々の梢に、いろんな野鳥がとまりました。

我が実家にも、裏の椎の木のてっぺんにモズが来て、さえずりました。

早朝には、前庭にすずめの家族が来て、ちゅんちゅんと鳴いて、うるさいほどでした。

そうそう春になると、家の脇の背の高い常緑樹(名は知らず)に鴬が来て、鳴きました。

若鳥の未熟な鳴き声を聞いて、ほほえましく思ったものです。

今はもう、マンションとモルタル壁の家屋がびっしりと並んでいて、彼らが立ち寄る空間はありません。

石原都政の頃、ビルディングの屋上の緑化構想を掲げていましたが、進んでいるのでしょうか。実現すればいいですね。

夜明けのメガタウンに、再び野鳥のさえずりを、聴きたいものです。




梅を吸ふ鳥に手の茶を零しけり (をさむ)