某タレントはDNA鑑定によって、息子が他人であることを知ります。
他の男性の子を身ごもったまま、彼と結婚したのだから、非は元妻にあるでしょう。
しかし、息子には何の責任もありません。
血のつながりはなくとも、親子の情が通い合う子を、いまさら元妻に返す必要があるのでしょうか。
突然父親から引き離される息子の悲しみは、いかばかりでしょう。
彼等は被害者同士なのです。いたわり合って生きることを、願うものです。
それでは、昔、当時のわが恋人エヨン女史から聞いた、彼女の養母ソエさんについての話を。ソエさんは全羅道からサムスン電子の所在地として知られる水原に、嫁いできます。
亭主は会社の経営者であるものの、その規模は小さく、金持ちというほどのものではありません。
しかし彼は愛人をつくって、二重の生活をします。
ソエさんに子は授からないが、その愛人に女の子が生まれます。
さらに男の子が生まれますが、そんな内縁の妻と子の生活費を捻出するのが困難になって、亭主は三人を本宅に連れてきます。
こうして家族五人の生活が始まりますが、ある日ぽっくりと亭主が亡くなります。
たいした貯えもないまま家長になってしまったソエさんは、ただちに行動します。
まず、若いその愛人を、嫁に出します。次に子供たちを親戚にあずけ、自らは財力のあるところへ足入れ結婚をします。
親戚の家で(ソエ)オンマ(母さんの意)を待つ小学生の娘エヨンが、釜戸で飯を炊きながら、その心境をノートにつづります。
その作文が周囲の涙を誘います。
頃合いを見計らって、ソエさんは二人の子がいることを新しい亭主に打ち明けますが、作戦は失敗に終わり、速やかにそこを立ち去ります。
彼女は待ちわびる子を、連れにもどります。
そして、女手ひとつで、そんなエヨンとヨンナムを育て上げます。



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