家を建てるにあたり、買った雑誌の紹介です。
今回は「日経ホームビルダー 2019年10月号」です。
私は全館空調に興味がありますが、なかなかインターネットで調べてもきちんとした情報が見つからないのが実情です。
口コミを眺めていても、同じHMで建てた人でも「足元まで暖かい」「寒い」「電気代はそうでもない」「電気代が高い」など様々で全く一定しません。
正しく施工されていない場合もあるでしょうが、私はほとんどの場合は施主側が正しく使えていないのではないかと感じていました。
そんな中で調べてゆくと、「間違いだらけのエアコン選び 「過大能力」避ける常識」という記事に辿り着きました。
新築やリフォームを考えている人は必ず読んで理解すべき内容だと思いますが、以下に簡単にまとめます。
エアコンの畳数表記は1964年から50年以上変更がないが、住宅の気密性能・断熱性能は格段に向上しているためにそのままの表記をあてにしてはならない。
エアコンは定格出力で運転するのが最も効率的であるため、その近辺で運転できる出力のものを選ぶものであり「大は小を兼ねる」で選ぶべきではない。
電力中央研究所で計算ツールが公開されているので、適切な選択が可能になる。
私が求めていたのはこういった情報です。
感覚的に「良かった」「後悔している」といったものも大事なのですが、あくまで主観的なものなのであてにならなすぎます。
そして、記事の冒頭に「日経ホームビルダー編集部」とあります。
ここを辿ればもっと有益な情報に溢れているに違いないと思い、古すぎないものからバックナンバーを漁って注文したのでした。
雑誌の内容に入ります。
特集記事の内容をざっくり紹介します。
①全館空調3事例の測定
それぞれ構造は異なるものの、全て一台のエアコンで全館(もしくは各階)を冷暖房してしまう全館空調システムです。
構造によりメンテナンス性が変わるはずなので、よく考える必要がありそうです。
建て主の採点では全ての家で全ての項目が満点で、完全に横並びです。
また、場所による温度ムラは階段ホールや吹き抜けなど高さのある空間で顕著なようです。
暖房時の乾燥が気になりますが、測定は夏のため湿度が高くなりすぎないかを見ていました。
ものによっては、時折カビのリスクが上がる湿度80%を超えることがあるようです。
②トラブル・不具合の事例
暖房をしているのに寒いという事例では、ダクトの長さによる温度低下、断熱材が通気経路に被さってしまう、コールドドラフト現象などが原因で温度ムラが生じていたというものでした。
また、ダクト内やチャンバー内に発生するホコリ・カビによる空気質汚染も問題です。
ダクト清掃を定期的に実施する必要があります。
中途半端な高気密高断熱住宅では構造材に対する結露が問題になりがちですが全館空調システムも同様で、きちんと断熱できていないダクトを放置すると結露しカビの温床になってしまうので注意が必要です。
③16システムの比較
価格帯が100万円未満、100万円台、200万円台に分かれています。
100万円未満では24時間換気設備と組み合わせるものがありません。
ボリュームゾーンは100万円台ですので、200万円超えのシステムは高級なものであるという認識を持った方が良さそうです。
ボリュームゾーンに関しては施工済みの棟数や価格などの一覧表もあり、大変参考になります。
また、それぞれ空調室(またはチャンバー)の設置箇所が異なりますので、希望の間取りに合うものかどうかや、メンテナンス性を考慮する必要がありそうです。
また、比較されている全館空調の中で唯一市販の壁掛けエアコンでないシステムを採用しているのが、三菱地所ホームの「エアロテック」です。
もともと200万円超えのシステムですが、機器交換が生じたときに家電量販店で価格を比べながら買えるようなものではありませんから、定期的な金額的負担が大きくなることが予想されます。
しかしながら、パナソニックホームズの「エアロハス」もそうなのですが、各部屋にセンサーがあるため各部屋で温度設定ができるのは魅力です。
100万円台のシステムでは手動でダンパーを調整しなくてはいけません。
おそらく業者にお願いすることにはなりますが、それにしても費用に関係しますからダクト清掃のしやすさも重要です。
ホコリが付きやすいが破れにくい素材、ホコリは付きにくいが破れやすい素材、ほぼホコリが付かないようなダクトの素材も紹介されています。
④特集記事を読み終えて
建て主目線ではないものの、だからこそ有益な情報に溢れていました。
読むまでは全館空調なんて数システムしか知りませんでしたが、こんなにも多くのシステムが存在していたことに驚きました。
そしてそれぞれの構造や、それに伴うメンテナンス性も住む上では非常に重要です。
また、200万円超えのシステムだけでなく、100万円台のシステムが施工できる工務店も選択肢に入れるべきだと感じるようになりました。
システム名で検索すれば加盟店がずらっと出てきますから、全館空調システムを検討している場合はこの一覧だけでも非常に有用です。
例によってアフィリエイトも何もありませんが、再度リンクを貼っておきます。
気になる方はどうぞ。
おわり