下記の記事を見つけました。

 

「低金利でも数百万円」3000万住宅ローン返済総額に驚愕

 

返済総額に驚愕したと書いてありますが、おそらく数学者であれば驚愕はしていない筈です。

目立つ見出しにしなければならない事情は察しますので、それは仕方ないことだと思います。

 

とはいえ、金利負担の多さだけが強調されているので、もう少し広い視点で検証したいと思います。

 

■住宅ローンの金利と返済総額

 

ネット銀行:0.42%~0.45%

都市銀行:0.47%~0.525%

フラット35:0.127%~0.129%

 

※最低金利の目安(金利はいずれも元利均等)

 

ローン計算(金利計算シミュレーター)

 

都市銀行の一般的な最優遇時の金利0.5%として計算すると、各データは下記の通りです。

借入金額:3,000万円
金利:0.500%
借入期間:35年 (420回払)
返済総額:32,707,560円
支払利息総額:2,707,560円

月額返済額:77,875円
年間返済額(月額返済額×12):934,500円

 

金利の総支払額は約270万円となります。

 

■住宅ローン控除

 

住宅借入金等特別控除(国税庁タックスアンサー)

 

概要を説明すると、

新築は4,000万の1%控除が10年+3年(別計算)

中古は2,000万の1%控除が10年+3年(別計算)

 

※注:別計算は下記の通り(年末残高の1%、または下記いずれか少ない額)

(住宅取得等対価の額-消費税額〔上限4,000万円〕)×2%÷3

 

3,000万円を金利0.5%で借りた場合で満額控除のケースで、控除総額は約312万円となります。

 

※借入開始月により誤差は生じます。

 

■その他の公的な補助

 

住まい給付金

次世代住宅ポイント

 

住まい給付金は収入制限がありますが、最大50万円。

次世代住宅ポイントは新築住宅なら30万円+αとなります。

 

■家賃を払い続けた場合

 

3,000万円の住宅ローンと同程度の賃料を月8万円と設定

8万円を35年間(420回)支払い続けると、3,360万円となります。

家賃なので当然戻ってくることはありません。

 

35歳から35年間借りたとしても70歳。

その後15年間は6万円の部屋に住むとしても、

6万円×12か月×15年=1,440万円ですので、

支払い家賃の総額は、3,360万円+1,440万円=4,800万円となります。

 

■コメント

世界的に見ても驚愕するほどの低金利に加えて、公的な控除が返済金利を上回ることさえ、さほど問題なく行使できます。

 

家賃を払い続けても残るものはありません。

住宅ローンは、払い終われば、居住費は無くなり、土地の価値は残ります。

 

総合的な視点で考えるほうが大事と思う次第です。