昨今、住宅ローンの返済期間を、従来は35年間までだったものを、最長50年間へと変更する金融機関が現れてきました。

 

上昇した不動産相場に対応し、期間を延長することによって、返済月額を低下させ、返済比率をさげて融資が可能な人口を増やす狙いがあると思われます。

 

では、実際にはどのようなものなのか、住信SBIネット銀行を例に検証してみます。

検証するプランは、代表的な、元利均等、変動金利としました。

金額は1,000万円(金利は2023年12月現在)

金利は50年返済にすると、35年の金利に0.15%上乗せになります。

 

 

金利(住信SBIネット銀行)

①融資率100%超:0.344%

②融資率80%超~100%以下:0.320%

③融資率80%以下:0.298%

 

諸費用を含めて借りる場合は、①となるので、それで試算します。

 

融資額1,000万円、金利0.344%、期間35年の場合

返済月額:25,275円

返済総額:10,615,508円

 

今度は、返済期間50年です。

 

融資額1,000万円、金利0.494%、期間50年

返済月額:18,813円

返済総額:11,287,836円

 

(補足コメント)

借入額が5,000万円であれば、上記の金額に×5して頂くとおよその金額が分かります。

 

完済年齢は80歳までなので、従来と変わりありません。

年齢が35歳であれば。返済期間は44年が最長となります。

 

従来の借入可能額は、年収のおよそ8倍と言われていたのですが、

返済期間を延ばすことにより、今まで届かなかった金額を借りることが出来るようになります。

実際にご検討する際には、住宅ローン減税が適用される物件を選んで、総合的に無理のない組み立てをすると良いと思います。

 

 

 

 

 

【購入できる額を知る】

 

不動産を購入するにあたり、当たり前のことではありますが、月々に返済できる額の上限と、購入できる額の上限を確認されるかと思います。

 

月々の返済については、家賃と連動することが多いので、おのずとわかる事ですが、購入できる額の上限は、なかなかわかりづらいと思います。

 

(購入できる物件の価格)

(住宅ローン借入可能額+自己資金-諸費用)

となります。

 

便宜的に上記のように書きましたが、引越し代、エアコン、TVアンテナ、などの費用は別途かかるので、その分のお金は手元に残して下さい。

 

(住宅ローン借入可能額)

年収400万円以上で、期間35年が組める場合(45歳未満)であれば、

民間の金融機関であれば、おそよ年収の7.5倍~8倍が上限。

フラット35であれば、およそ年収の9倍が目安となります。

 

(諸費用)

仲介手数料が正規の額でかかる場合、およそ物件価格の7%~8%。

仲介手数料が無料であれば、およそ物件か価格の4%~5%。

 

(購入可能額の計算)

 

年収:500万円、30歳、自己資金400万円(引越家財費用は除く)の場合

 

500万円×8=4,000万円(住宅ローン借入可能額)

500万円×9=4,500万円(住宅ローンがフラット35の場合)

 

(民間の金融機関の場合)

(住宅ローン4,000万円)+(自己資金400万円)-(諸費用200万円)=約4,200万円(購入可能な物件価格)

となります。

 

※上記は、仲介手数料無料の場合ですので、正規仲介手数料がかかる場合は、諸費用320万円とすると、購入可能物件価格は4,080万円となります。

 

(フラット35の場合)

(住宅ローン4,500万円)+(自己資金400万円)-(諸費用200万円)=約4,700万円(購入可能な物件価格)

※上記は、仲介手数料無料の場合ですので、正規仲介手数料がかかる場合は、諸費用380万円とすると、購入可能物件価格は4,520万円となります。

 

(借入期間ごとの住宅ローン融資可能額の目安)

 

融資期間:30年(年収に対する上限)

銀行:7.5倍

フラット35:約8.8倍

 

融資期間:25年(年収に対する上限)

銀行:約6.6倍

フラット35:約6.9倍

 

融資期間:20年(年収に対する上限)

銀行:約5.6倍

フラット35:約5.6倍

 

※銀行の場合、査定金利3.4%、返済比率40%上限として計算。

※フラット35の場合、査定金利1.88、返済比率35%上限として計算。

※上記は概算値として計算しました。また査定金利は毎月見直しがされています。

※借入期間が短くなるごとに、借入上限値が近づくのは、それぞれの返済比率上限が違うことに起因しています。

 

(補足)

年収が400万円未満の場合、フラット35の返済比率上限は年収の30%までとなります。(年収400万円以上は返済比率上限35%)。民間金融機関でも概ね返済比率上限が低下するので、それを加味して計算します。

近年はフラット35の金利が上昇傾向なので、借入可能額の上限は少なくなってきています。

 

ご参考になれば幸いです。

 

【諸費用の中身】

 

不動産購入における「諸費用」とは、不動産本体(土地・建物)代金以外にかかる費用の事です。

 

物件価格にもよりますが、仲介手数料がかかる場合で、概ね購入物件価格の7%~8%くらいになるかと思います。

仲介手数料が割引や無料の場合は、その分の金額を差し引いて計算します。

初期段階では、各項目が確定していないので概算となります。

各項目の概要は以下のとおりです。

 

(諸費用の各項目の概要)

 

①契約書類に貼付する収入印紙代

(不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置)

1,000万円を超え 5,000万円以下のもの 1万円
5,000万円を超え 1億円以下のもの 3万円

 

②住宅ローンの融資手数料

借入金額の2.2%が一般的です。
 
5,000万円だと110万円の融資手数料になります。
 
融資手数料・保証料など呼び方は色々あります。
保証料型の場合で借入期間35年だと、最近のレートは、20,611円=100万円が多いです。
 
③登記費用
4,000万円~6,000万円の物件場合は、概ね40万円~60万円
 
※登記費用は、
所有権移転(土地・建物=中古の場合)、所有権保存(建物=新築)・抵当権設定・事前調査費用・報酬・交通費などで構成されています。
住宅ローンを利用せず、現金で支払いをする場合は、抵当権設定の登録免許税がなくなりますので、登記費用は安くなります。
 
④建物表題登記費用(新築の場合)
新築の場合は、この費用がかかります。概ね10万円~13万円程度。
 
⑤固定資産税等精算金
固定資産税・都市計画税を日割り精算します。
マンションの場合は、管理費・修繕積立金も日割り精算します。
※固定資産税・都市計画税は、年末であれば少なく、年始であれば多く、買主が負担することになります。
税額が未確定の場合は、後日精算となるケースもあります。
 
⑥火災保険料
戸建てであれば、概ね25万円~40万円
マンションは、概ね20万円~30万円程度。
※上記はあくまで一般的な広さの想定です。マンションは鉄筋コンクリート造なので、燃えない分安くなります。
保険の内容は、自分で自由に設定できるので、保険料には値段の幅があります。
 
⑦仲介手数料
税別で400万円以上の物件の場合
(消費税を除いた物件価格×3%+6万円)×1.1=正規仲介手数料となります。
※正規と書きましたが、宅地建物取引業法で認められている報酬の上限金額となります。
 

(消費税について)

 

・「土地」にはいかなる場合でも消費税はかかりません。非課税となります。

・「土地付き建物」のうち売主が課税業者であれば、建物に消費税がかかります。

・個人が売主の場合、「建物」の消費税は非課税となります。

 

広告等に記載されている金額は、基本的に総額表示ですので諸費用にはカウントしません。

 

(補足)

新築マンションの場合は「修繕積立基金」がかかります。

「固定資産税・都市計画税」は1月1日の所有者が、その年度の納税義務者となり、4月1日の税額が確定します。

 

各項目を掘り下げて記述すると膨大な文章になるので、概要のみ記載しました。

ご参考になれば幸いです。