僕は、英語も教えている。
先日、疑問詞の文を教えた。
まず僕は、
いわゆる「疑問文」との違いを話す。
問題なんかで言うところの「疑問文」ってのは、
「Is this ~?」、「Are you ~?」、
「Do you ~?」ってヤツで、
疑問詞の文は
「What do you ~?」とか「Where do you ~?」、
「How are you ~?」ってヤツ。
いわゆる、「5W1H」ってヤツらだ。
つまり、
「Yes」か「No」かで
答えられる文が「疑問文」で、
答えられないのが「疑問詞の文」。
色々と突っ込みどころもあるのでしょうけど、
中学生に教える分には、これで十分と考えている。
それ以上を求めるのなら、
そもそも「疑問文」という
日本語の定義から見直さねばなるまい。
「疑問詞の文」を説明するときに、
僕はこんなハナシをする。
「現実には、
YesかNoかで
答えることができる場面の方が少ない。
僕は、これまで生きてきた中で、
YesとNoだけで世の中をわたっている人は、
ひとりしか、知らない。」
…ひとりだけ、知っている。
ここで、彼に登場いただく。
波野イクラ君。
サザエさんに登場する、イクラちゃん、である。
彼は、僕が知る限り、
唯一、
YesとNoだけで過ごしている人物である。
イクラ君はしゃべらないから、
一般には、
言葉が分からない
と思われているかもしれない。
しかし、思い起こしてみよう。
彼が使う言葉は、
「ハーイー♪」と「バブーッ!」の2種類である。
この二言を、彼は的確に使用している。
「ハーイー♪」が「Yes」であり、
「バブーッ!」が「No」である。
ただ適当に声を出しているのではない。
その場に応じて、
自分の気持ちを、この二語で表現している。
この二語の使用だけで、
会話はちゃんと成立している。
つまり、イクラ君は、
確実に、大人たちの会話を、
完ぺきに理解している。
そうでなければ、
「ハーイー♪」と「バブーッ!」の使い分けは、できない。
彼は、周囲でなされる会話をはっきりと理解し、
自分の意志を表現しているのである。
となると、ここにひとつの仮説が成り立つ。
実は、イクラ君は、
自由自在に
話ができるのではないか。
だって、大人の会話が理解できるということは、
彼の頭の中には
豊富なボキャブラリーが存在することになるし、
自分の意志を伝えることができる以上、
理解力も低くない。
喉やベロの生育も、声を聞く限り、十分である。
おそらく彼は、豊富なボキャブラリーを操り、
自由自在に話すことができる。
ではなぜ、自由自在に話すことができる
スーパー天才児のイクラ君が二語しか発しないか。
答えはひとつしか見当たらない。
面倒くさいからだ。
イクラさんくらいになると、
大人の会話に自ら言葉を使って参加するのは
非常にバカバカしいことなのだろう。
そんなことにつきあっているほど、
イクラさんは低俗ではない。
そこでイクラさんは、
自らを「話ができない」キャラにつくりあげた。
わずか2歳である。
氏が話ができないと思うのは、フシギではない。
そして、そこにたたみかけるように、
類まれなる精神力と注意力で、
一切の言葉を発せず、
「イクラ『ちゃん』は、お話ができない」と
大人に思わせることに成功した。
こうなれば、氏の思惑どおりである。
自ら言葉を発せずとも、
大人たちは「Yes」か「No」かで
答えられるようなシチュエーションをつくってくれる。
イクラ氏は、あとは
「ハーイー♪」と
「バブーッ!」の二言で意志表示をするだけで、
何の不自由もなく暮らしていける。
氏のすごいところは、
「どうしたいの?」とか「何がほしいの?」とか、
そういう5W1Hを使用した疑問詞の文を
大人が一切使わないような環境を
自らの存在感で作り上げてしまうところだ。
みんな、「氏は話せない」と思っているから
YesかNoかで答えられるような質問を投げかけるが、
そもそもYesかNoかの判断ができるのであれば、
自分の意志は、かなり明確にもっているはずで、
当然、おしゃべりもできるに違いない。
そのことに気がつかないあたりが、
磯野さんとフグタさんのおとぼけぶりである。
タイトルで「最強」と書いたが、
実際のところ、
イクラ氏は
「最凶・最恐の二歳児」である。
「どうせイクラちゃんは、おしゃべりできないし、
言ってることもわからないから・・・」
そう大人たちに思いこませて、
何食わぬ顔して密談の場に同席し、
その実、すべての内容を
非常に的確に把握し、
(その的確さといったら、
両手両足の指を使わねば計算ができないワカメよりも的確だ)
カツオの悪だくみはおろか、
国家機密すら、奪いかねない。
恐るべきスパイの素質である。
だから、もしあなたがイクラと出会ったら、
彼がどんなに
「ハーイー♪」、「バブーッ!」って言っても、
引き下がってはならない。
「はぁ?なにぃ?
言ってることがわかんないよぉ?
ちゃんとしゃべってごらん?
ええっ?なんだってぇ?
ちゃんと言わないと、だめだよぉぉぉ?!」
って、詰問すべきである。
やがてイクラは苛立ちの中、油断をし、
うっかりしゃべってしまうだろう。
あ・・・くれぐれも一般の2歳児にやらないように
これは、あくまでも2歳児のフリをした
工作員イクラへの対処法である。
イクラが工作員である証拠として、
つまり、
彼が実はしゃべることができるという証拠として、
いくつかの事実がある。
まず、読者の中にもお気づきの方がいるかもしれないが、
実は彼は大分前から、
「ハーイー♪」と「バブーッ!」のほかに
もう一言、
しゃべるようになっている。
「チャーン!」である。
親戚であるフグタ・タラオ君。
彼を呼ぶときに
「チャーン!」を使う。
タラオ君は、工作員イクラにとって、
かなり使い勝手のよい、カモなのだろう。
タラオ君と一緒にいる機会は多く、
また、イクラの意志で、
タラオ君に接近することも多い。
そのため、
「ハーイー♪」と「バブーッ!」で機会をうかがうより、
そろそろ、もう一言を覚えたとしても
おかしくない時期だから、
「チャーン!」をしゃべれることにして、
使い始めたのだろう。
「イクラちゃんが、ほかの言葉を覚えた!」
そう感動する、磯野家の面々の様子は微笑ましい。
と同時に、あまりにおろかである。
なぜ、イクラは、
毎日長時間一緒にいる
「タイコママ」や「ノリスケパパ」より先に
タラオを呼ぶことになったのか。
それは、賢いには賢いけど、あまりに純真無垢で、
利用価値の高いタラオ君、
彼に接近する必要性の方が高かったからだ。
ここに、イクラ工作員の狡猾さが見てとれる。
もうひとつ、衝撃の証言がある。
実は、これまでの歴史の中で、
イクラは、しゃべったことがあった。
何度か目撃証言はあるが、
一番強烈なのは、
罰ゲームがかかったジャンケンをしていたときに、
彼ははっきりと
「ジャンケンポンッ!」としゃべったというのだ。
なんという狡猾さ。
なんという計算高さ!
おそるべき、工作員イクラ…。
…何の話題でしたっけ?
…あ、そうだ
…というわけで、
Yes、Noだけで世の中をわたっていくには、
イクラなみの工作員教育を受ける必要があります。
疑問詞の文をおぼえて、
まっとうな人生を送りましょう!
…はい、すいませんでした。
kama
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事実とウソとホンネと冗談との
ギリギリの境目を楽しんでいただくことを目的としております。
今回の記事につきましても
大幅な誇張はありますものの
おおむね「ウソ」ではないかと存じますww
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