子犬から成犬へと繫ぐ一生に二度とない思春期教育の重要性(思春期前半編) | 家庭犬共生共育トレーナー&共同生活問題カウンセラー田中利幸の気づきとぼやき

家庭犬共生共育トレーナー&共同生活問題カウンセラー田中利幸の気づきとぼやき

2021年11月でトレーナー&カウンセラー歴22年。
”イヌをなおさずして、問題を解決する”が私もモットーですが、そこに至るまでの様々なわんこ先生(犬達)と飼い主さんと歩んだ気づきのメッセージを楽しんで愛犬と共利共生を築いて頂けたら幸いです。

 今日の美濃加茂市は冷え込んできており、岐阜県北部では明日はまた雪がふる予報。
地球が病んでいる・・そう思ってしまう日々です。

 

 前回はパピー編としてこのテーマに繋ぐ前編を投稿しました。

パピークラスに参加するまでにすべきこと、社会化教育について書いていきました。

今日はテーマの本題である「思春期教育(共育)」について皆さんに情報提供しようと思います。

最初にお断りしておきますが、私が伝える情報は絶対ではありません。

もちろん当てはまらないケースもありますし、視点においてはまた見え方も違ってくるので、私は成長発達の段階での犬の変化と飼い主さんの変化についても解説をしようと思います。これからもきっと私の書いていることが自分自身も変わっていくと思います。

常に勉強し続けているからです。今の時点での思春期教育(共育)のステップを数回のシリーズに分けて説明します。

 

 生後6カ月~1歳までの半年が特に活発になるので、この時期を「思春期」と呼びます。

”子犬ではないけど、成犬でもない”という”中間期”にあたるのがこの「思春期」です。

もう一つ同時に起こる時期でもあります。それが「脱社会化期」です。

精神的思春期という説明でいうと生後6カ月~3歳齢までを言います。

今までは、まだ飼い主さんに依存し可愛らしく飼い主さんの教えてくれることに順応してくる時期です。

 生後6カ月を過ぎたくらいから目に見えて、そして感じてくるのがパピークラス(ジュニアクラス)の時のように飼い主さんに注目してくれなくなっていくのが最初にわかる思春期スタートのサインです。

 

 今まで保育園児だったのが、急に中学生に成長するというイメージがわかりやすいかと思いますが、犬の成長は人間に比べて早いので、この時期は一気に急変化していきます

パピーの頃は、まだ自分の意思をはっきりと示さず我慢したり、嫌なことも我慢して自己保存の為の行動をして甘えていると勘違いされる行動をします。

しかし、この思春期からやっと自我発達してくる時期で、”自分の意思表現ができるようになる時期”を迎えます。

一方通行で問題なかった関わりが、この時期からは犬も意思表現できるようなってきて、”人間の一方通行な要求には都合悪ければ拒否をする意思表現を始めます”

これを「問題行動」と人間は呼んだり、「反抗期」と言いますが、自分の意思表現をするという上では正常な発達であり、意思表現できない方が「異常」です。

 

 そうした時期だからこそ、やっと”コミュニケーション”ができるようになる歳を迎えたということで、「オピニオンクラッシュ」をしながら合意形成していく時期であり、それを通じてパートナーとしての友情も深まっていくのです。

この時に飼い主さんが身に付けるべくスキルは、言うことを聞かせるスキルでも、従わせるスキルでもなく、「教えるスキル」を身に付けて、教え育てていくことができて「教育」です。これが友としての存在として必要なスキルの一つです。

 大人しい犬は良い犬だ、お利口さん??・・という思い込みから、この時期に意思表現ができなくなっているのであれば、それが問題であり、自分をしっかりと持って意思表現して意見衝突していくことが正常発達なのです。

私は「お利口」という言葉を昨年から使わないようにレッスンしていますが、”お利口って褒め言葉ではない”と気づいたからです。

”お利口という意識が犬を褒める気持ちを動かさない原因になっていた”ことに飼い主さんとのやりとりの中で気づかせてもらったからです。

 

 この半年の間に「飼い主テスト」をしながら、情報収集をして、1歳を迎えた頃にエネルギー消費を抑えるための生命維持の戦略として成功得られなかったことは淘汰(消えていく)されていき、成功したものが残るという情報精査をする犬生の中で一番活発な時期なのです。

もちろん、その後も飼い主テストは続きますが、この時期に比べたらかなり少なくなります。

今まで反応しなかったことに、急に警戒心が強くなって吠えたり、覚えたり、威嚇して咬むなどの攻撃的な反応逆に自信がなくなり、外では怯えて歩けなくなったり、他の人や犬に警戒してビクビクになってくるようになったりもします。

 

 家では元気いっぱいなのに、外出ると怯えて動けなくなるということも起きたりします。

第二期恐怖期とも言われる時期でもあるのです。第一期が生後4か月齢~5か月齢くらいです。

ここまで書いただけでも色々な現象がありますが、まだまだあります。

それくらい濃い時期であることに気付いて頂き、「重要」と書いたのは「重いくらい(たくさん)の大切な教育を要する時期」という意味も含めて「重要性」と書いています。

 まだここまでも現象説明にすぎません。
この思春期の自我発達が正常に出やすい子はやはり社会化教育をしている子たちは、様々な刺激やストレス免疫がついているので、自信もって自己主張ができるので、思春期教育(家庭犬教育の本番)に移行しやすくスムーズにこの時期の教育できるようにするためにもっと早い時期から教育した方がいいと始まったのが”パピークラス”です。

 

 20年前には犬のしつけトレーニングは6カ月過ぎてからでないとしつけ教室も参加できなかったのです。

それが今はもっと早い時期から教育をした方がいいとなったのもここ12,3年くらいです。

思春期教育と問題改善は因果関係で繋がっているので、思春期教育の欠如や誤った対応の結果が1歳~3歳までに問題と言われ改善依頼を受けることになっています

予防は思春期教育になるので、その予防時期に自己主張が出来なくなっているとコミュニケーションがとれない障害があり、教育できなくなるという問題から、その後に共生にマイナスとなる条件で生きていかないといけなくなるという問題が起きていました。

その解決策「社会化教育の必要性」で元々は思春期教育へのシフトをスムーズにして、成犬に健全に育つための教育ができるようにと社会化教育は3カ月までが重要ということと、パピークラスの必要性が始まったのです。

 

 そうした背景を知らず、社会化が重要なポイントだという部分だけにフォーカスしてしまったその時期のプロ入門者が、ここにだけ注目して社会化教育だけに意識を向けてしまったことで、過去にはなかったストレス障害が多くなってきているのです。

そして科学の進歩によって、犬の心も科学で公平なエビデンスが出来てきた進化と共に、色々な誤解が解けてきました

無意味な体罰や恐怖や痛みが不要ということが証明できてきたのです。

これはこれからもどんどん、犬への福祉の発展には科学の進歩は必要になってくる大切なエビデンスです。

同時に、「家庭犬共生」という視点から「犬」にフォーカスし始めてしまい、共に暮らす私達人間(飼い主さん)の影響や相互視点が消えてきて、犬にとって良いというデーターだけにフォーカスしてしまい、”飼い主さんとの関係性(相互利益、共利)”を見失ってしまった結果、過去にない狂暴な犬、異常行動と呼ばれる(私は異常と思わず、その状況に自己適応するため、守るために脳が起こしている防衛反応としている)が増えていきました。

 

 動物行動という視点でみることも大切ですが、”動物だけで暮らす環境””人間社会の中で共同生活して暮らす”という違いを無視して、動物行動学的とみてしまうのも、犬だけにフォーカスしてしまい、優しい方法(人間的に勝手に優しいと思っている常識、ゲージ)なら一方的に言う事を聞かせてく学習がいいとされてきてしまった”本質を見失った褒めてしつける方法”が暴走してしまっているのです。
 思春期に特に必要になってくるプライバシーや保護環境、人間と共に暮らしていく上で避けられない負への適応力によって快を得る力を育む、自立というステップを踏みながら、従うのではなく自分で考えて判断しながら人間社会での適正行動がとれるように育ててあげるための「保護環境、保護者と子」生活環境を放っておいて、犬だけいい子にという身勝手な教育意識と思考を飼い主さんにつけてしまうきっかけを思春期教育の飼い主さんが学ぶ重要性の軽視が、相互で苦しむ「共生問題」を増加させてしまっていることできっと飼い主さんも犬もお互いが理解できずに一方的に迎え、限界に達して手放したり、逆に苦しみのあげく、改善を依頼されても、それを改善するのに余分な苦労が飼い主さんにものしかかるという”負の連鎖”を招いてしまっているのです。

思春期教育(共育)の軽視が、放棄という行為に繋がっていくことにフォーカスして頂きたいのです。

 

 ここ(原因)を改善せずして、(結果)放棄された犬を保護し、里親さんを探すだけでは何も変わっていかないだけでなく、むしろどんどんと犬の犠牲が増えていくことの手助けにもなってしまうことだってあります。

理解することを第一にせず、「犬をなおす」という意識が先行し、犬が病気のようになってきて犬を治療するとなったら、彼等がそうなった部分改善をせずして、犬だけにまた改善負荷や主体を移行するようになれば、これは善意に化けた虐めです。

そして飼い主さんを盲目にさせてしまい、そうした飼い主さんではないはずが、動機付けによってこうした行為に加担する一員にすることも出来てしまいます。私は犬だけでなく、飼い主さんもやはり先を見据えてプラスになる”共利(自利利他)”を基本に考えてこそ、”共生共育”という”家庭犬の犬育ての基本”であるべきではと思います。

 

ここに気付いて頂きたい!!

思春期教育の欠如が根本にあり、それを補ってこその次に行うサポートが診療だと思います。

ここをまずは過ぎてしまっても、提供して育てていく上で、やっとそこから状況を診察してもらうのがステップだと思います。

犬だけを都合よくしようと頑張るように、飼い主さんをさせたくない。

頑張るなら相互理解と自分に足らない部分も犬と共に自分もトレーニングしていく”共育”して、補えるスキルを身に付けるのが最初です。

ベーシック(基礎)教育が思春期教育ですが、犬と飼い主さんの相互共育(教育)をしながら飼い主さんも子犬としての付き合いから思春期の付き合い方、教え方にシフトして、成犬としての付き合い方に成長して、やっと犬育て卒業し、そこから無礼講というか友達付き合いで共に伊生活を楽しむ未来を築けるようにしていくことが本来すべきステップです。


 その子の気質に適した育て方を飼い主さんに理解して頂き、適した育て方や生活環境を実施していき、成犬に成った時に適応できる”社会性”を育ててあげたら、他の人や犬と勝手に遊べることよりも、飼い主さんと安全に社会(公)で行動するルールを身に付け、飼い主さんと安全安心で自信を持って行動できる力を養ってあげることが思春期教育の目的と目標です。海外の犬達がノーリードで歩いていても、勝手に他人や犬のところにいかないのはすごいことではなく、安全安心を飼い主さんと行動を共にする時に保証されていたら、他の群れとの交流は必要ないからです。飼い主さんが初期対応をして保護してくれている(保護者)存在として信頼しているからです。

守ってくれない、信用できないという安全、安心の保証がないから、日本の犬達は勝手にお友達と挨拶に行ってしまったりするのです。

これは犬のせいではなく、私達の”保護責任放棄”原因です。

 

 私はかわいそうなことをした、ダメな飼い主だとは思わないでください。

それをしても何もプラスにはならないからです。

気づいてあげて、改善実行して未来を変えてあげる人が本当の愛だとイギリスの先生がよく言っていたことです。

日本人はすぐにかわいそうと涙するけど、それは何もしようとしていないからかわいそうというネガティブになるだけで、何ができる?と考え始めた時からポジティブな思考に変わるからかわいそうという感情がプラスな情になっていきます。

間違いや失敗をすることはダメではありません。これが間違いだ、失敗だと気づいている時点で、もう改善に向かっています

自分は正しい、間違っていないと思って気付かないのが本当の間違いであり、失敗だと思います。

口では何とでも言えます。愛は語るより実行です。

 

今日は思春期教育が子犬から成犬へとシフトするためにすごく重要で、すべての共生問題の原因になっていることに気付いて頂く為の長文です。

プロとか一般の飼い主さんとか関係なく、思春期教育の重要性に気付いて頂けたら幸いです。

犬が苦手だった私が、犬と向き合えるきっかけになったのもこの共育の重要性を知れたからです。
 

次回はこの時期に必要で、実はシンプルな実践が信頼関係を築くための方法だったことを具体的に紹介したいと思います。