ちょっとそこの犬のトレーナーさん! | 家庭犬共生共育トレーナー&共同生活問題カウンセラー田中利幸の気づきとぼやき

家庭犬共生共育トレーナー&共同生活問題カウンセラー田中利幸の気づきとぼやき

2021年11月でトレーナー&カウンセラー歴22年。
”イヌをなおさずして、問題を解決する”が私もモットーですが、そこに至るまでの様々なわんこ先生(犬達)と飼い主さんと歩んだ気づきのメッセージを楽しんで愛犬と共利共生を築いて頂けたら幸いです。

あるワンちゃんが飼い主さんと一緒にスクールに来た。


すると・・

犬:「ちょっとそこの犬のトレーナーさん、私の主人はどこですか?」という。


トレーナー:???「隣りの人だよ」・・そう伝えると


犬:??「何かずっと私のそばにいるんですけど、私はこのような者を従えた覚えはないのですが・・。」


トレーナー:「まぁそうなんですね。あなたの主人となってもらうように伝えてみましょう」


犬:「頼みますよ。私も困っているんです。ご飯をくれるのはありがたいのですが、散歩も連れていってくれ   ないし、何か訳のわからないことで急に怒りだしたり、甘えてきたり。私は守ってくれるリーダーがいなくて、リーダーを募集し、どこかの群れに所属しないと犬の掟として安心して生きていけないんですよね。」


トレーナー:「そうだね。最近は人間は癒しを犬い求めてて、君たちの本来のイヌの掟や本性を誤魔化されてしまってわからなくなっているから、そこから同じ人間として伝えることにするね」


犬」「まぁ頼みますよ。何がしたいのか本当にわからないし、ベタベタと触ったり、甘えてきたり・・本当にうっとうしくて困っているのですよ。ここで止めてと言えば攻撃してくるし、この人の問題行動直りますかね?」


飼い主:「すみません。本当にこの子が言うこときかなくて、噛みついてくるし、触ると逃げるしで全然癒しにならなくて困っています。そして最近は他のイヌや人によく吠えるようになって困ってるんですが、この犬直りますかね?」


犬:「この人が守ってくれと私に頼んだんだよ。トレーナーさん、その人の言うことは違うよ。あ~これでノイローゼになって何が何だかわからなくなってきた・・ブルブル・・怖い怖い人間社会は・・」


トレーナー:「飼い主さんが愛犬の安心した場所を提供したり、愛犬が信頼してくれるように、イヌと共に学び、育て合う「共育」というものがあるのです。犬が問題というよりも、私達人間側の勘違いや教えてあげていないこと、教え方を身につけていないことが問題なので、一緒に学んでいけば、改善しますよ。このわんちゃんはとっても賢い犬ですから。(話してくれるなんて言えば、このトレーナー頭おかしいと思われるから)」


こんなやりとりが最初はなされています。

「うちのこの人間の突発性凶暴症を直してほしい」「うちのこの人間の無駄吠えはどうにかならないか?」

「いったいこの人間は何なんですか?主人と思ってもないのに、やたら命令してきて・・」


こんな犬達の話も聞きながら、飼い主さんの話を聞いてると笑えてくるのと、本当にちょっと真剣に伝えないといけないという両方の気持ちとときより混乱します。


10年前には、リーダーとして犬を犬として尊重し、大切にする愛犬家は存在した。

しかし、現在は犬に癒しを求め、イヌ本性を認めず、とにかく自分の欲を満たしたいだけで、イヌが頼れるリーダーらしい人が存在しなくなっていると感じます。


これは人とイヌの共生においては大問題。

どんどん人間の勝手解釈が犬という動物を等身大で見なくなってしまい、妄想のような犬を無理やりあてはめ、それに当てはまらない犬は「問題」とレッテルを勝手に貼って、飼育放棄や保健所で罪なき命が殺処分される現代は、動物に対してそうだから、人間社会のいじめや思いやりのなさに必ず繋がっているだろう。


犬達は人間の欲に振り回されている犠牲者そのもの。

そして、飼い主さんは営利情報に振り回されいる犠牲者そのもの。

どちらがいいとか悪いではなく、基準を見失ってしまい本来の正しきは面倒で、嫌、間違いが楽で都合がいいという都合主義で人間も判断し受け入れるようになり、心で受け止めることを忘れてしまっている。


人間的美化が進めば進むほど、動物としてのイヌが必要としていない愛情を注ぐことになり、彼等を弱きものとして人間が優れているかのような風潮になっていることは、イヌにとっては侮辱的だろう。

彼等は人間より強い。そこを認めることから始めていかないと、すべての歯車が狂ってきているように感じる。保護が必要なのは、人間のような気がする。

保護されていないから、我慢できずに犬を放棄せざるおえない状況になっている。

だからこそ、ドッグオーナーズスクールは飼い主保護をするために、イヌの本性を伝えたりして、共生を確立する御手伝いをしている。


かわいそう・・「同情するならちゃんとリーダーらしくしてくれ!」と犬達は声を揃えて叫ぶ。

そんな飼い主さんが一番かわいそうだ。

犬は群れで生きる動物で、強き知的にも優れたリーダーの元で所属することが、彼等の生きる居場所を保障する。しかし、リーダーがいない群れは群れではなく、死を意味することになり、居場所がなく必死にマーキングをして、居場所確保をしなくてはならなくなる。

とても厳しい掟の中で、犬達は群れ(パック)を造り、共同生活をする。

人間なら殺されるくらい厳しい掟(ルール)の中で、時には血だらけにされるのも日常茶飯事。

でも、私達とは違う動物だからこそ、それが当たり前なのです。食うか食われるか?生きるか死ぬか?この中で生きるのが動物社会なのだから。しかし無意味な殺生はせず、これも厳しい掟の中で、生命連鎖が保たれている。

人間社会とイヌ社会が良く似てたから、共にこの距離で生きられたと思う。

しかし、最近は人間社会は弱化し、イヌ社会とは似てない状況となったため、共に生きることが難しくなっている。


今一度、イヌの動物観を見直すのは、私達人間側に必要だと想う。

この犬達のメッセージが届くかなぁ?