前回 https://ameblo.jp/ids-gaichu-h/entry-12572923760.html
前回で動物救護を熱心に行っている小山先生がなぜアライグマ駆除を行っているかを扱いましたが、今回は具体的な内容に入っていきましょう。
小山先生は2016年10月に箱罠2台を使って駆除を開始すると共に、翌年2月には今回小山先生の後に発表して頂いた天白牧夫氏、前回のセミナーで講演頂いた(https://ameblo.jp/ids-gaichu-h/entry-12502921779.html?frm=theme)古谷益郎先生を招いてアライグマの捕獲従事者研修会を開催しました。問題意識を持っている住人が多かったようで100人を超える出席者を記録しました。
2017年の捕獲
さらに3月からは箱罠を8台に増やして駆除を行ったところ・・・
春先からメスが多く捕まり、幼獣の数は少なく、オスが年間通して捕まっていることが表から分かります。この年は年間54頭が捕獲されました。2017年までの時点での鳩山町のアライグマ捕獲数は約180頭程度なので、小山先生たちだけでほぼ3分の1を捕獲していることになります。僕たちが委託されている自治体の従事者の場合、特別多い人でも一人あたり年間20頭程度の捕獲ですのでいかに多いかが分かります。
2018年の捕獲
翌年は罠を増やしたこともあって年間を通してオスメス共に捕まり、子育て中の夏に幼獣も捕まっています。この年は59頭でした。
範囲は赤で囲った山の部分。この周辺部分(主に沢の入口)、中心部(沢沿いが中心)に4台ずつ設置したそうです。
闇雲に広い山に罠を仕掛けても捕獲効率が悪いので、このように移動に用いる水路沿いに設置するのが基本です。もちろん山の中に何らかの形で住んでいるはずでもあるのですが、未だに僕もそんな姿を見たことないですし、そのような奥地に罠を仕掛けて見回る手間もかかりますので、住居よりも通路で捕獲をするのが効率面でも無難だと言えるでしょう。
ただ、この年の鳩山町の捕獲数は例年以上に多くなり、250頭ほどになり、県内6位ほどの数に上ったはずです。あまりにも全体数が多くなってしまったのでここでの捕獲がこの地域のアライグマの生態にどう影響を及ぼしたかは分かりにくいですが、小山先生が別にとったデータから効果が見えてきます。
小山先生の活動成果
上が森の周りでの捕獲数で、下が森の内部での捕獲数ですが、見ての通り2018年度はほとんど外部で捕まっています。
さらに捕獲を続けた2019年度には森の中での捕獲は春先のオスのみ。この時期のアライグマは性別問わず移動が多く、特にオスは他の個体より先駆けて他のアライグマがいない領域に入っていくとされていますので小山先生たちの努力によって森の内部に定着していたアライグマたちはいなくなり、よそ者のオスがたまに立ち寄ってくるだけの状態に持ち込むことができたと言えるでしょう。もちろんこの状態から罠を仕掛けずに放っておけばオスが入り、それに続いて妊娠、子供を連れたメスが侵入して滞在してしまうはずですので、定着個体がいなくなっても継続して防除を続ける必要はあります。
当然そのためには人手もほぼ毎日罠を見回る労力も必要になります。周囲にアライグマたちが無数にいる限りキリがないわけでして、結局はこのような防除を行う地域を増やしていく必要があるのは間違いないでしょう。
発表タイトルの通り、アライグマは必ず減らすことはできるとは思います。ただし・・・ここには多くの「ただし」がつきまとう
わけです。
思ったより長くなりましたので扱いきれなかった部分を次回扱います・・・。








