そうか,もうそんな時期か. | 8-hour workdays

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音楽を中心に、気ままにブツブツ

身内から連絡があった


父親の三回忌らしい.
坊主は呼ばないが墓参りをする,
来れるか?ということだった.

父親が亡くなった時,

母親はアルツハイマーの

初期症状があったため, 仕方なく,自分が墓守になった.

 

父親は子供の頃から貧しい家で育ち,

物質的に恵まれることこそが
幸福と考えていた.

世代的にも,家族,子供の他に

マイホーム,車,そして墓を持つことが

目指すべき人生の指標であった.


別にこの価値観を否定しようとは思わない.


ただ自分にとって墓は,
単なる遺骨保管場所に過ぎない.
そんなところに何百万もする
御影石の墓を持つことに
何の意味も感じていない.

自分の後には墓守はいないので,
母親が入ってしばらくしたら
つぶすつもりだ.
その頃にはメタバースで
バーチャル霊園になっているだろう.


しかし,この江戸時代に始まった葬式仏教,

本当に良くできている.

仏門に入らないと弔ってもらえない

ルールのため,戒名というものを買って,
なんちゃって仏弟子にならないといけない.

「ほとんど働き詰めだったとお聞きし、
自動車会社にもいたことから「輪」を入れました。
またあまり怒らなかったとお伺いしたため、
「穏」を入れました。あとは名前の一文字と
もう一度故郷に帰りたかったということで
その故郷の一文字を入れました」

戒名料の支払いをする時に
坊主からそう説明された.

親方から四股名をもらう力士のようだ.

「お前はブルガリアから来たから
 『琴欧州』と名付ける!」

こんな感じに数十万を払った.
まあ父親から下ろした金なので,
本人が満足するならそれでいい.

その後の49日法要は真夏だった.
自分は20代から着ている

礼服が冬物なので,
着ぐるみのバイトのような
苦しみを味わった.

墓の前で坊主を待っていると,

「今日は暑さが厳しいので、
 なるべく短くしますね」

と自分に言ってきた.

その時,初めてお経の

ショートカットバージョンが
あることを知った.

歌番組が時間の都合で,
「今日はBメロを飛ばして,
 Aメロからいきなりサビに
 行ってください!」

というような事だろう.

ただそうなったとしても
お布施の料金は変わらない.

どうせ意味のないお経になるなら,
リモートでやってくれよ.
こっちは2時間かけて
実家のそばまで来ているんだから.

そう思ったのを覚えている.

「で,墓参りは来るの?」

「前の日が飲み会で,
 集合時間を遅くしてくれれば」

昔の自分だったら
「みんなでやっといて」
だけで,行かなかっただろう.

何せ2時間もかかる.

 

ただ最近はツイていないので,
親父の力でも借りてみるか
と言う気持ちになっていた.

墓にいるとは思えないけどな.