今回は、アイヌに関連して読む中で、アイヌの食事について知りたいと思い手に取った本を紹介します。
『聞き書 アイヌの食事』(日本の食生活全集㊽、農山漁村文化協会)
『日本の食生活全集』自体が、昭和初期の食生活を現在として記録することを目的として企画されています。アイヌは昭和初期ともなると、祭りなどの行事以外は、ほとんど和人と変わらない食生活を送っていて、そのためアイヌ独自の食文化を記録するのは困難であったようです。そんな中、多くの人に聞き取りを行い、この『聞き書 アイヌの食事』一巻が完成しました。
アイヌといえば、熊を送る祭り(イオマンテ)で知られるためか、狩猟の対象は熊だと思われる向きがあります。しかし、アイヌが熊を狩るのは、食料というより、むしろ宗教儀礼が中心だったようです。食料として好んで狩るのは、熊より鹿肉だったそう。
アイヌは狩猟もするが生活の中心は漁労で、鮭、マス、ウナギなどを獲っていました。確かにアイヌのコタン(集落)は河川、特に鮭の遡上する川筋に多くつくられます。
狩猟、漁労のほかに、もちろん植物の採取も行いました。山野の採集で得られたオオウバユリの鱗茎やドングリ、山菜、畑で栽培された雑穀やジャガイモなどを素材に、魚や獣の脂肪(タラ、イワシ、ニシン、サメ、アザラシ、エゾシカ、ヒグマなどからとる)をふんだんに使った味付けで食べていたそうです。
いずれにしても、自然を相手に暮らしてアイヌですが、自然相手である以上、不測の事態に直面することもあります。なかでも、ケンラム(飢饉)が最も恐れられ、そのため加工・保存食も、冬期のための備えであると同時に、飢饉時の備えとして考え出され、発達したものと思われます。
日常の食事は、基本的に汁ものと粥。
汁ものは、山菜汁、肉汁、魚汁、海草汁など。通常、具がたくさん入っており、塩や前述の油脂で味付けをします。
粥はヒエ、イナキビ、アワ、米やトウモロコシなどの穀物に水をたっぷり入れて作ります。乾燥させたギョウジャニンニクやオオウバユリのデンプン、干したイクラ、 ジャガイモ、豆、カボチャなどを入れることもあったようです。
自然の中で、自然を大切にしながら神と共に生きたアイヌ。
そのアイヌの知識と才覚が、今の私たちの暮らしや食生活を今一度考え直す足がかりとなるような気がします。
北海道の食事との比較も興味深いです。
こちらの本もぜひ。
『聞き書 北海道の食事』(日本の食生活全集①、農山漁村文化協会)
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