「従軍慰安婦はいなかった」「南京虐殺はなかった」「GHQが日本人を洗脳した」……それって本当はどうなの?と思われたことはないでしょうか。
今日はこんな本を紹介します。
『歴史戦と思想戦ー歴史問題の読み解き方』(山崎雅弘、集英社新書)
著者、山崎雅弘氏は1967年大阪生まれの戦史・紛争史研究家。
『日本会議 戦前回帰への情念』(集英社新書)で注目を浴びたのでご存じの方も多いのではないでしょうか。
最初に書いたように、本屋さんへ行けば「従軍慰安婦はいなかった」「南京虐殺はなかった」「GHQが日本人を洗脳した」……等々、歴史問題について大日本帝国が行ってきたことを否定、あるいは矮小化し、現代の日本人の自尊心や優越感をくすぐるような歴史関連本をよく見かけるようになりました。
本当に日本は何も悪くないのだろうか。あるいは……。
そしてまた、これらの本がうさん臭いと感じていても、果たしてどこがどう間違っているのか、何が問題なのか、説明できない方も多いのではないでしょうか。
本書は、これらの「歴史」について、「事実」と「論理」によって一つ一つ丁寧に検証した作品です。
特に腑に落ちたのは、「日本」と「大日本帝国」と「日本国」の意味の違いをきちんと峻別することの重要性です。
何気なく使っているこれらの言葉ですが、そういう視点で「歴史戦」について書かれた本を読むと、人の思考をある特定の方向へ導くためのトリックに気づくことも多いです。
賛否両論あるにせよ、客観的な歴史認識を広げることこそが最終的には国益を守ることにつながるのではないか、という認識は大切かと思います。決して「日本人アイデンティティ主義者」に陥って、独断と偏見で「歴史」を語ることのないように……。
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