私のブログでは「いじめ」をテーマに書く機会が多いのですが、これは当院に「小児ばり」を受けに来る子どもたちを診ていて、感じることが多いからかも知れません。
今回、そして次回と、それについて自由連想的に綴ってみようと思います。よろしくお付き合い下さい。
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「いじめたい」と「殺したい」は違うと思います。
「いじめたい」では、辞書にも「弱いものを苦しめる」とあるように、いじめの対象が死んでしまったのでは困るのです。このサディズムが、時代や世代を超えて見出せるものであるとするなら、それはどのようなところで観察できるのでしょうか。今回はそんなことを自由連想的に書いてみたいと思います。
蟻の行列を指でつぶす少年の残酷さ、蛙を捕まえて地面に叩き付けたり、「解剖」と称して切り裂く子どもたち…。それほど積極的でなくても、蚊取り線香で畳に落ちた蚊がもだえ苦しむのを見るとき、ある種の快感に近いものを感じることはないでしょうか。
そしてこれらが、今の子どもたち、あるいは私たち大人がもてあましている「いじめたい」という気持ちに紛れ込む衝動でありはしないか…
われわれは、対象をなきものにしたいのではなく、対象が苦しむところ、困るところを見たいのです。死なれると困るのだから、対象が死んでしまうと、そんなつもりではなかったという思いが生まれるのがわかります。
いじめについては過去にもこのブログで何度か取り上げたことがあります。
(https://ameblo.jp/ido-s/entry-12222194370.html )
「学校のいじめ」が話題になる中で、学校へ行っていないわれわれ大人は、このような連想を続ける必要があるように思います。
『浦島太郎』の冒頭で、亀をいじめていた子どもたちの姿は、今の日本の「いじめる子どもたち」の姿を共有するものとして、浮びあがらせます。また、戦時中の、捕虜や弱者に対する軍人たちの残虐行為は、ただ対象、規模、状況が違うだけで、「いじめる子どもたち」と同質なのではないでしょうか。
このように「いじめたい」は私たち誰もが保有するサディズムなのです。
「マスコミの芸能人たたき」にみられる、相手の弱点や隠しておきたいところを公衆の面前で露出させて辱めたいというサディズムは、実は私たち誰もが保有するものなのです。
問題は 「いじめたい」という気持ちを抹殺するのではなく、どう取り扱うか、どう処理するかにあるのでしょう。
私が子どもの頃 「ゆーたろ、ゆーたろ、先生にゆーたろ」という歌がありましたが実はこの歌、地域によって歌詞は違っていても日本中で歌われているんです。つまり日本人はみんなこの歌を歌いながら育っているわけです。この歌が何十年も全国的におなじメロディーで伝えられているということも、多くの人々の陰湿なサディズムの普遍性を反映しているように思います。
いつも歌われるんじゃないかと、お互いに牽制しながら、歌う側に立つと、暴露的であり侵入的であり辱めているという自覚が希薄になってしまうのです。
このあたりに、日本人の集団心理の本質が隠されているように思えます。
「警察に言いつけてやろう」「憲兵に言ってやろ」「マスコミに教えてやろう」と、どこでも、どの時代でも、罪の意識なく歌われ続けるこの国の「辱しめの文化」で、この歌が歌われなくなるとは思えません。
まあ、自分のことを棚上げにするというのはいつの時代でもよくあることですね。
でも、いじめの問題にしてもそうなのですが、自分の事を棚上げせずに見つめ直すということをしていかないと、こらからの時代の論理というものは不毛だと思います。
子どもたち、そして我々大人たちの所有する文化として、あざけり言葉、悪口雑言、汚い言葉から発展して、いじめの歌、いじめの遊び、いじめを取り入れたスポーツ、さまざまないじめの表現形式は、いじめの衝動をコントロールさせる良い機会です。これらのことでいじめがなくなるわけではないでしょうが、少なくとも直接行動に移さず、間接化、劇化、象徴化するというやり方で、自分自身のサディズムを昇華するというやり方以上のものを、人間はいまだ思いついていないのではないか…そんな風に思います。
そして、私は、臨床における患者さんのこれからのためには何が出来るかということを考えると、こういうことを話すしかないのではないかと常々思っています。つまり、この裏と表の二面性を打破するなんてことではなく、人間が本来持つ二面性どころか多面性について語るしかないのじゃないかと。
そして、みんなの異常さや残酷さ、矛盾みたいなものを語りあえるようになれば、きっと障害やいじめというようなことについても、ただ笑い飛ばしたり、隠したりするだけではない、取り扱い方が見つかるように思います。
次回は、一冊の本を手がかりにもう少し「いじめ」について考えてみたいと思います。
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