白河神社(福島県白河市)
白河神社(しらかわじんじゃ)。

福島県白河市に鎮座。
御祭神は白河国造命(シラカワクニノミヤツコノミコト)、天太玉命(アメノフトタマノミコト)、中筒男命(ナカツツオノミコト)、衣通姫命(ソトオリヒメノミコト)。
社格は旧村社。
延喜式神名帳に名前の残る、『陸奥国 白河郡 白河神社』の論社のひとつ。
社伝によると、第十三代・成務天皇五年(135年)に白河国造神と天太玉命を奉祀し、勅命により鎮座したというのがはじまり。
その後、「白河の関」の設置にあたり、関所の南北に住吉・玉津島明神を祀ったとのこと。
永承七年(1053年)には源頼義・義家らが稲田を奉献し、寿永三年(1184年)には源義経が、文治五年(1189年)には源頼朝が金弊を奉献した。
また、さらに時が流れて元和元年(1615年)には伊達政宗公が社殿を改築し奉納したそうだ。
こちらの本殿には九曜紋があるそうだけれど、これは改築した伊達家とのつながりを示すものなのかもしれない。
国指定の史跡となっている「白河の関」すべてを境内としており、先ほどの奉納した人々の顔ぶれを見ればわかるように、陸奥国を訪れる多くの人が参拝していたようだ。
『奥の細道』で有名な松尾芭蕉の弟子である曽良の日記にも当地のことが記されているらしい。
よく陸奥国のことを、「白河以北」とくくることがあるけれども、宮城県の地元紙である『河北新報』はこれから名前をとったのだとか。
御祭神の天太玉命は、アマテラスさまが天の岩戸に隠れた際、オモイカネが考案した策を採用して良いかどうか、占いをおこなって決めた神。
古来の神事を行っていた氏族的職業集団であった、『忌部氏』の始祖なのだとか。
それにしても、神様というと飛びぬけてすごい力を持っているイメージなのだけど、日本の神様は神でありながら行動を占いで決めるというのが人間味があって面白い。
白河の関入り口の全景。
関自体はとても広くて鬱蒼とした森が広がっている。
ちょうどこの画像では写真撮影をしている観光客がいるけれど、歴史の舞台となった国指定史跡ということもあって多くの観光客が来ていた。
【 白河関跡 の碑 】
で、上の画像で観光客の方が写真撮影をしていた白河関跡の碑。
こちらは社号標の石と比べてだいぶ新しいように見える。
石畳もきっちりしていたし、このあたりは近年に整備されたものなのかもしれない。
【 鳥居手前の左右の狛犬 】
首をグッと体の方へ引き寄せて、警戒心を強めているように見える狛犬。
流れる毛の立体感が素敵。
【 手水舎 】
鳥居手前にある手水舎。
初めて見たときは「ええええええ!?」ってびっくりしちゃったよ (´・ω・`)
茅葺き……じゃないんだろうけど、こういう手水舎ってちょっと珍しくないですか。
情緒たっぷりで歴史の舞台に来たっていうのを実感するよね。
【 鳥居 】
石造りの明神鳥居……なんだけど、どうしても鳥居よりも手前の奇妙な形の木?なのか、蔓?なのか……
そちらの方にばかり目がいってしまいます。
なんだかこの木を見ると、御神域というよりも魔法の国にでも入ってしまうかのような感じを受けてしまいますな。
【 参道 】
鳥居のちょっと先から奥を見た様子と、途中で振り返って鳥居側を見た様子。
秋の参拝だったんで落ち葉が一面にびっしりと。
立ち並ぶ木々の高さ・太さが歴史の深さを感じさせますねえ。
【 参道途中の左右の狛犬 】
風雨によるものなのか、体がすっかりと丸くなった狛犬。
苔のはえ具合に時の流れを感じますなあ(´∀`)
【 拝殿 】
そんなわけで、参道を進んで拝殿へ。
高い木々に囲まれて、ひっそりとたたずんでいる。そんな印象。
決してそんなに大きな拝殿ではないのだけど、なんせ雰囲気が良い。
ゆっくりと時を過ごしてみたくなるような空間。
【 本殿 】
こちらの本殿には九曜紋が入っているそうで。
伊達政宗公による改修の影響なのか、もともとの御神紋なのかは分からないんですけどね (´・ω・`)
さて、無事にお参りを済ませたわけですけど、社務所へ向かう前に白河の関を散策します。
こんな変わった形の木や、
どっから生えて、どこに伸びてるの的なびっくり造形な木々を眺めつつ。
で、こちらは『 従二位の杉 』と呼ばれる大木。
右下にいる人と見比べると、その大きさと太さが一目瞭然。
ビッグ。ビッグすぎて全体がおさまりません (´・ω・`)
自然なままに大きくなったのであろうことから、枝ぶりがすごい。
四方八方、縦横無尽に伸びていて、剪定された杉しか知らない自分にはすごく興味深い造形。
従二位の杉の近くを流れる小川。
イチョウの落ち葉で埋め尽くされてすっかり黄金色。
さて、そんなこんなで散策を楽しんで、ようやく社務所へ。
社務所は白河の関の中ではなく、駐車場付近にあります。
看板が出ていた気がするので、おそらく駐車場に停めた時点ですぐに見えるかと。
で、いただいた御朱印がこちら。
初穂料は300円。
中央に押された印は右側に白抜きの文字で白河之関。
左側に白河神社。
白抜き文字の印ってちょっと御朱印では珍しい気がしますねえ。
それと、こちらは『西山国師十六霊場』の第一番になっているようで。
こちらにお参りするまで知らなかったんですが、西山国師というのは法然上人の弟子で、浄土宗西山派の祖というお方なんだそうで。
「へええ、十六霊場かあ。じゃあこれを機にお参りしてみようかな」
……なんて思ったんですがちょっと調べてみたら 、第一番のこちらが東端で、西は兵庫まであるそうで。
範囲が広すぎて断念しました (´・ω・`)
それにしても、史跡ということもあって境内の雰囲気が素晴らしい。
放射線の不安が去ったなら、ぜひ県外の人にもお参りして頂きたい神社です。
■ 白河神社への地図
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◆ 神社の情報
白河神社 しらかわじんじゃ
御祭神 : 白河国造命、天太玉命、中筒男命、衣通姫命
社格等 : 村社、延喜式内社(論社)
鎮座地 : 福島県白河市旗宿関ノ森120