小辺路
「弘法大師によって開かれた高野山と熊野三山、両霊場へ最短距離で結ぶ道。
起点から熊野本宮大社まで約70㎞と言われていて、奥高野から果無山脈にかけて縦走している。紀伊半島中央部を南北に縦断し、伯母子山をはじめとする標高1,000m以上の峠を三度も越える。熊野参詣道の中でも最も険しい道。」
さあ、3日間。今回はテント泊装備にて約70kmの道のり。
初日23km、伯母子岳山頂付近まで。
5月ということもあり、高野山はたくさんのハイカーで賑わっていました。
薄峠から大股までの道のりは、ちょいちょいアスファルト道を挟んでの
のんびりとした行程。ここまでくるハイカーのほとんどは熊野までの予定なので、何度も抜きつ抜かれつを繰り返し、どんどん知り合いが増えていきます。これがまた楽しい。
「今日はどこまで?」「伯母子まで」「萱小屋まで」。まあ、選択肢は二つしかないのですが。
大股にはトイレもあり水の補給も可能なので、この後の伯母子岳登山に向けて休憩。
その後は気持ちのいい登山道を登り山頂付近の山小屋まで。
小屋周りのテント場には数張のテントがすでに張られ小屋内は満員となっていました。
その後はお決まりの知らない者同士の雑談。
今までの登山話や、装備の話。そして「熊野古道」の話。
今思えば、この時聞いた熊野話のおかげで「沼?」にはまったような気がします。
「あ~、よかった」
2日目、この時は迂回ルートの設定があり伯母子岳山頂を目指します。
雲海まじりの山々目に焼き付け先を急ぎます。
いくつかの旅籠跡や茶屋跡を通り、当時の賑わいや思いに触れいろいろと考えさせられます。
そして何年か先に歩かれる人の思いには私も含まれることを祈ります。
「この道がずっと続きますように」
いったん山道をぬけ十津川温泉へ。
ここでハイカーには2つの選択肢が・・・・
このまま果無集落をぬけテント場まで登るか。それとも温泉に入りふとんで寝かせていただくか。当然、事前の予約もあるのでその場では決められないのですが・・
「温泉組ハイカー」は嬉しそうに町に消えていきました。
私たちは・・・もう一度登山です。
果無峠の登山口から先には「天水田跡」、「観音堂」の2つのテント泊可能地があります。
観音堂には豊富な水がありますが、天水田に水場はありません。
それともう一つ、先の観音堂は狭い!もしも先行者が多ければ場所の確保が難しいかも・・
悩ましいところですが、簡単に解決しました。
果無集落をぬけるとき民家の庭先を通るのですが、その日の様子をある程度把握しておられる住人の方に「まだ、観音堂は大丈夫だよ」と声をかけていただきました。
後でわかったのですが、後続の人たちは「もう観音堂はいっぱいやから天水田にし~」「水場は無いから、そこで汲んで行き~」と教えられたそうです。
こういう人たちとの出会いは景色以上に感動します。
後日談。私の友人は果無への到着が遅れ「もう遅いから、この庭にテント張り~トイレは言うて~」と、言われたそうです。
さあ、最終日。
果無峠まで登って、本宮に下ります。
峠から先の道は「果無山脈縦走路」ともかさなり、よく踏まれた素晴らしい道でした。
しばらくロードを歩いて「道の駅」へ。
ここには何でもあります、オアシスです。当然、たくさんのハイカーが集まってき話が盛り上がります。大休止(冷たい飲み物・アイスクリーム!)をとり、さあ後2時間程度頑張ります。
しばしロードを歩きその後「中辺路」と合流。展望地から「大斎原」を望みます。
私たちは電車・バスを使い3日間の行程ですが、昔の人たちは日本中から徒歩で何日もかけ、夢にまで見た「大斎原」を前にした時、どれほど感激したのでしょうか。たぶん私には想像することもできないものなんだと思います。
熊野本宮大社に到着。
あっという間の3日間でした。
山に会い、景色に会い、人に会った3日間でした。
「使い込まれた道には何かあるのかもしれません」と思います。
■高野山~熊野本宮大社 66.5km
:1日目 千住院橋バス停~伯母子岳山頂付近 距離22.7km
:2日目 伯母子岳山頂付近~観音堂 距離31.4km
:3日目 観音堂~熊野本宮大社 距離12.1km
*カシミール3Dにて作成