調子にのっていた私へのしっぺがえし。

 その前兆は今思えば確かにありました。

 投稿の中に、何かアルファベットと数字の配列が書いてあるものがありました。

 変だなと思いつつ、その時は何を意味しているのかわかりませんでした。

 その後、私が複数のIDを使って、一方では空気を読まないほめ投稿、また一方では相手に噛み付く品の悪い投稿をやっていました。

 その後、俳優に対する侮辱的な言葉を続けるドラマ批判派の投稿が続きました。

 その俳優に若干思い入れがあった私は、その批判派を総攻撃するような、超上から目線の投稿をしました。

 私の投稿に支持が擁護派の割に集まってきて、内心得意になっていました。

 そこに、「君のIDはオークションの出品者だ。さっきの言葉は立派な侮辱罪だ。」という投稿が来たから、

 !!!そりゃ、びっくりしたなあ、もう!!! なぜ、私のIDが頭文字3文字のabc******しか表示されていないのに、それがばれたのか?

 そこで私は敗走しました。そのとき妄想する頭によぎったのは、

 おお、とんでもないハッカーがここにはいるのか!!

 オークションのIDがわかれば、そんなハッカーにとっては、暗証番号を探り当ててクレジットカード番号やら探し当てるのは至極簡単な仕事である、と思い込むともうどうにも止まりません。

 具体的な逃げ方はここで記すのは勘弁してください。例えれば、

 徳川家康が戦に負けて命からがら逃げ出す時に漏らしてしまって、部下に問われたら「これは味噌じゃ」と言い訳したようなものです。 

 ギャハハ!! (゜▽゜*)ノ彡☆バンバン!!

 うえーん(つД`)・゚・。・゜゚・*:.。..。.:*・゜


 逃げて逃げて、寝付けぬ夜を過ごしました。

 その後、少し冷静に考えてみると、

 ハッカーがわざわざこんなみみっちい場所に来るわけないではないか?

 という至極当たり前な結論が出てきました。

 第三者がIDの頭文字だけではそれ全部がわかるわけない。これは内部犯行だ!

 という思い込みが新たに生まれました。

 妄想は膨らみます。「あの掲示板は管理者自ら投稿していて、自分で気に入らないものを削除したり、気に入らない奴のIDをばらしている」と。

 そこで某ポータルサイトに問い合わせることにしたのです。

 反撃?の開始です。「もうIDはばれてるし、怖いものはない。相手は管理者でありながらプライバシー侵害を堂々としている」、という妄想が止まりませんでした。

 結論を先に言えば、犯人は管理者ではなくて、第三者でした。ただ、その第三者がそういういたずらをするきっかけを与えたのは、管理者のIDに対する考え方でした。それについては、次回、ということで。
 これまで述べた、管理がしっかりしているけれども居心地が悪い掲示板ですが、それなりの楽しみ方があります。

 具体例をあげると、あるドラマの掲示板であります。そのドラマは前の同時間帯で大好評だったものの後を引き継いだものです。

 正直言って、原作があって登場人物が万人に知られている実在の人物で親近感・いい先入観があったのに比べると、行き当たりばったりな現代劇です。番組開始前の予告CMで主人公の無駄な元気を見ていやな予感はしていましたが、その通りでした。

 ただ、バックを支える俳優陣はなかなかで、映像の演出も悪くありません。問題は無駄に元気な主人公とつぎはぎ感が強い脚本でした。

 そういう背景があると、得てして掲示板の書き込みは負のパワーに満ち満ちてくるものです。スターウォーズでいう「ダークサイド」のように。

 そこで主流になるのは、ドラマ批判派です。

ドラマ批判派の掲示板の楽しみ方は大体以下の通りです。

1.ドラマの矛盾点を徹底的に探し出して糾弾する。
2.ドラマの登場人物の役柄や脚本の内容(俳優批判は御法度)に対して「どうして私は嫌いなのか」を延々と語る。
3.ドラマ関係者が見ていると思い込んで、天に向かって批判を繰り返す。
4.ドラマ擁護派を挑発するようにできるだけ他の投稿人の直接の批判にならないような文章をひねる。
5.文章力に自信のない人はとにかく先に出た意見に便乗する。
6.投稿が削除されたり受け付けられないことに恨み節を垂れる。

 さらに彼らの楽しみ方として上げられるのは、これだけドラマ批判派が圧倒すると、

7.ドラマ擁護派がつい他の投稿人を批判するような投稿をしてしまうと、削除依頼を集中させて削除させる。

というのも可能です。

 そのため、ドラマ批判派で他の投稿人を批判していても、そちらの削除は遅れたり見逃されたりしていることが多々見られました。

 こういう環境の中でのドラマ擁護派の楽しみ方はというと、以下の通りです。

1.空気を読まないふりをしてただほめる。
2.とにかくいいところをできるだけ見つけてほめる。
3.ドラマと関係なく俳優のファンとしてほめる。
4.ぎりぎりのところで他の投稿人への批判を密かに忍ばせつつほめる。
5.批判派が占めている現状に疑問や不満を語る。

 ただ、IDが複数あれば何度も投稿できるとなれば、

削除覚悟で他の投稿人を批判したりひやかしたりする

という楽しみ方もでてきます。

 批判派も擁護派もその応酬にあけくれて、擁護派がどんどん削除されて、しまいには批判派もごっそり削除されたりする、という風景がリアルタイムで見ると楽しめます。

 では、私はどうやって楽しんだか、というと

 私の場合は擁護派の楽しみ方を選びました。

 最初は、少しでも他の投稿人を批判するような内容を書くと、基本的にはドラマの内容についての批評(悪いとこもあればいいところもある)でも削除されたり、思わぬNGワードにひっかかったのでそれをさがして別の言葉に置き換えるのに手間取る、といったことで戸惑いました。

 その内、削除を覚悟しながら頭に血が上った他の投稿人を諭すような感じで批判したり、辛い評価の振りをして実は評価していたり、辛い評価の振りをして後ろの文章でやたらとムキになって批判する他の投稿人をからかったり、とはまっていきます。

 気がつけば、私もダークサイドに落ち込んでいました。アナキン・スカイウォーカーの気持ちがわかるような気がします。

 しかも掲示板の表に見えるのは、IDの頭3文字「abc******」です。やりたい放題になるような仕組みです。

 ところが、そんな調子に乗っていた私にしっぺ返しが突然訪れました。

 それについては、また次回ということになります。
 まず、この匿名掲示板でID暴露の舞台となったところについて語ります。

 その某ポータルサイトには、それはもう沢山のコーナーがあります。文字通り、「掲示板」というところもありますが、今回の舞台は「テレビ」です。番組表だけでなく、番組の内容を軽く紹介したりしていますが、そこに「掲示板」が別名で存在するのです。

 その掲示板は、某2ちゃんねるのようにウイルスコードが張られて見ただけでパソコンがウイルスに感染してしまうようなこともなく、比較的安全なところです。(某2ちゃんねるではウイルスソフトをやってても反応しないウイルスに2、3回やられました。モウコネーヨヽ(`Д´)ノ ウワワワーン)

 そこは管理が厳重に施されています。同じ某ポータルサイトの別の掲示板機能のところはまずい内容もほったらかしになっていることもありますが、そこでは削除が速やかに行われます。そして、NGワードがかなりの数で設定されていて、書き込んでも「不適切な表現があります」と警告が出て送信できないようになっております。

 さらに、その掲示板は厳格な投稿規定があります。「ID一つにつき、一日一回のみ投稿」できます。その投稿では、「シンプルな」好き嫌いや人となりへの批判や非難をしないように、「冷静な」投稿を求めています。そして、番組の登場人物や関係者や「他の投稿人」をけなすのは御法度です。(ここではそのままの引用は避けて、言葉を一部置き換えています)

 また、小さい字で別に注意欄があって、犯罪性のある投稿の禁止を改めて記してあります。投稿者名は匿名で表示されますが、匿名だから犯罪を逃れることは出来ないともあります。

 その匿名とは、某ポータルサイト全体で使えるIDのことであります。こう見ると匿名とは言え、IDを出して全うな意見を交わす場となるかと思われますが、そこに落とし穴があるのです。

 例えばあなたのIDがabcdefgだとしたら、掲示板に「abcdefgさん」と出るのかと思う方も、ここまでの説明では思われると思いますが、実際には掲示板には「abc*****さん」と表示されるのです。

 ここで投稿者は錯覚するのです。「ああ、これは匿名性がとても高い掲示板である」と。

 そして「全うな意見」ですが、先ほど上で述べたガイドラインから外れていなければ逆に何でもいいということになります。「シンプル」でないとは、例えば、「○○が嫌いだ」という短い文章ではないことであり、「冷静な」とは文面上キレていない文章、ということになります。番組の登場人物や他の関係者をけなすのはだめだ(例えば、ドラマの役者や脚本家への直接の批判)については、その番組の内容に関してのけなし(例えば、ドラマの役柄や脚本の内容)は許される、ということです。

 それを前提の上で、普通の掲示板での誹謗中傷よりは言語力が求められる誹謗中傷が可能となります。それに管理者側はその誹謗中傷をある程度は許しています。そうじゃないと、掲示板が繁盛しないですからね。

 とりわけ管理者が警戒しているのは「他の投稿人」へのけなしです。ほかの掲示板で「荒らし」行為がひんぱんに起こるのを防ぐねらいが大きいようです。

 「他の投稿人」へのけなし対策で威力を発揮するのが「削除依頼機能」です。

 掲示板を見ている人(IDを持っています)がそれを通報すると管理人はすぐに対応してくれます。推測ですが、削除依頼が一定数あると管理人が内容をチェックして削除するようです。削除依頼には理由の項目があって、特に個人情報の公開とかまずいものはすぐに削除されます。

 そして忘れてはいけないのが、

 IDは簡単に複数作れる

ということです。

 これにより、投稿は事実上一日に何回でも投稿でき、さらには削除依頼も何回もできることになります。極端に言えば、一部の人が片方の意見を集中的にそれなりの内容で投稿して、それに反発してつい他の投稿人をけなしてしまった投稿に削除依頼を集中させて削除させることも可能となります。

 かくして、

 一見健全な意見交換の場を提供するはずだった匿名性の高いしっかり設計の掲示板システムの中で、とても風通しの悪い事態が繰り広げられることもありうるのです。

 それでも、掲示板の投稿者はそれなりに掟に従いながら楽しんでやっているのです。

 次回は、具体的にそれを語ることにします。