将棋を地政学で考える9 棋譜解説「かたちのない銃撃戦。足の速い駒をうまく使った方が勝つ」
将棋は宇宙だ!
アイデス山口@アプリde将棋入門です。
地理的条件で国家の軍事などを考える地政学を、将棋に応用して考えてみよう、というコラムです。
地政学自体、付け焼刃の知識ですし、あくまで私個人的な見解ではありますが、
最終的には、棋力アップの方向にも繋がれば、と思っておりますので、よろしくお願いします。
前回から将棋の地政学を使った棋譜解説を行っています。
前回は、形のない将棋でも、序盤の手が最後に影響を及ぼすこともあり、それを将棋の地政学で予想ができる、といった話でしたが、
今回も形のない将棋から、考えていきたいと思います。
上記は序盤の局面。角交換して、互いに打ち合ったところです。
角換わりの将棋ではありますが、お互い居玉で、先手に至っては金銀が全く動いていない展開で、
その陣形が整う前のスキをついて、互いが角を打ち込んだ、といったところでしょうか?
どこで戦いがおきるかわからない感じで、完全に遠距離ミサイルや爆撃機の戦いになりそうです。
したがって、飛車角桂といった足の速い駒が活躍するエアーパワーの将棋です。
エアーパワーの場合、地理的条件はあまり影響しないので、互いに平地の将棋と考えて良いでしょう。
まず、先手は歩、桂、角しか動いておらず、角以外は攻めの態勢すら作れていません。
唯一角が銀をタダ取りしようとしているのが攻めの手ですが、次に受けの手を指せば受かるので、あまり良い状況ではありまえん。
5五に角を打つのは利きが多く、地政学的に見ても、エアーパワーとしては影響力が強いはずですが、活かせてないです。
対して後手も居玉ですが、銀が動いており、守りにも攻めにも活きてきそうです。
それ以上に8筋に歩が伸びており、飛車先の歩を切ることができれば、利きが直撃するので、飛車が活きてきそうな展開です。
角も歩の両取りになっており、1歩得は確実です。
エアーパワーは足の速い駒の働きが重要なので、飛車角の働きをみれば、すでに後手が良くなっています。

少し手が進んで・・・
まず、後手が8筋を飛車の利きを活かして押さえこんでいます。
反対に右側では、角が成り込むところを、先手は飛車で受けざる得ない状況に追い詰められた挙句に、桂に狙われてしまいました。
先手は飛車は受けに使われ、角も効果的でない、桂も跳ねただけ、ということで全く働いていません。
後手は、飛車は左辺を押さえ込み、角で飛車を押さえ込み、桂で飛車を取りにいくという見事な躍動です。
急所となりそうなところを的確に爆撃する体制を築いている、と言えるでしょう。

本格的な爆撃を受けてはかなわないと、先手は飛車角交換して、敵陣に角を打ち込み、金を取りにいきます。
しかし、この将棋はエアーパワーの将棋。角は遠距離射撃に使わないといけないのですが、ちょっと狭すぎる場所のようです。
例えれば、スナイパーを敵陣のど真ん中に置いてきてしまった、という感じでしょうか?
もちろん、この角が逆に狙われる結果になります。

前図で打ち込んだ角は、何とか敵玉近くで馬になり、一見後手玉も危なくなったように見えますが、実際は後手の角得。
6一の金取りになっているとはいえ、簡単に受かります。
後手も金駒の1枚でもあれば、駒損でも攻めが繋がるかもしれませんが、歩2枚ではどうしようもありません。
無謀な攻めから戦力を減らしてしまう結果でした。
その後、この馬は追い払われてしまい、敵陣で拠点になることもできませんでした。
この時点で大差の勝負になってしまいました。

大勢は前図で決していたので、もう投了図でも良いかと思いましたが、もう1つだけ取り上げておきます。
後手の6四の飛車は、8二にいたものです。
右側を制圧して、先手玉に迫る段階で、前に出てきました。左側の逃げ道だけでなく、上部への脱出もふせいでいます。
序盤で8筋を押さえ込んでいたのが、飛車の活用に繋がった、と言えるでしょう。

上図が投了図。右側の戦いを制して、打ち込んだ飛車が最後は龍となり、と金とのコンビで上手く詰ましました。
先手玉は、ほぼ中央から動くことなく、追い込まれてしまいました。後手の駒台には、まだたくさんの戦力が残っており、これで詰ませられなくても、追い込めるだけの余力はあります。
序盤で大駒を交換し、互いに玉を囲わないような将棋は、
航空爆撃や遠距離ミサイルを中心としたエアーパワーの将棋になります。
エアーパワーの戦いは、どこで戦いが起こるかわからず、その爆撃がうまくいくかによって勝敗が分かれます。
将棋で言えば、飛車、角、桂の足の速い駒の利きをうまく活かす、ということになり、
うまく使った後手、使えなかった先手では大差になる、というのがよくわかる対局だったと思います。
これまでは形のない棋力の低い対局を地政学で解説してみましたが、
次からはよくある駒組みの将棋を取り上げてみたいと思います。
