北海道のアイヌの人たちによれば、人間には誰しも生まれながらにして憑神というある種の例が憑いているという。
その超能力を持たせる霊の中にノイロポイクシというものがあるそうだ。それは家に来客がある前兆’(予知)として急に頭痛を生じさせるものだと藤村久和著「アイヌの霊の世界」に書かれている。
同書によると、ノイロポロイクシは遠方から見知らぬ来客に限って知らせる事ができ、見知っている場合にはおこらないそうだ。ある人は、頭痛が荒々しいときには女性が、緩やかなときなは男性が訪れるといい、訪問理由の概略と来客の年齢までいいあてることができたことを著者は驚きをもって語っている。
アイヌの人たちの信仰によると、こうした憑神は個々の霊を共にこの世にやってきて胎児に憑き、その個人が死ぬとともにその遺体から個人霊共々
の世に帰って行く事になっているという。
(妖鬼化 日本編 水木しげる著 抜粋)
頭痛持ちである。よく頭痛になる。風邪を引いたからとか、特に理由も無く急に頭痛がおこる。
市販の鎮痛剤を飲んでも効果がない。脳に異常があるかもしれないと心配になり神経内科を受診した事もある。CTまで撮影したが、これという原因も疾患も発見されなかった。まあ、生命に危険を及ぼす物ではない事はわかっているのだが、どうにも頭痛が始まると我慢できない。
頭痛にもいろいろあって、軽いときもあれば、頭の中で金属製のバケツか鉄鍋でもたたいているかのようにがんがん痛むときもある。軽いときは我慢もできるが、重いときには布団から起き上がる事もできない。
しかし、何か最近わかりかけてきた事がある。頭痛があると必ず誰かがマンションに訪れてくる。私の仕事はライターなので、自宅と仕事場を兼用している。取材のときには何日か家を空ける事もあるが、ほとんどが自宅にこもりっぱなしである。そこで気がついた事は、頭痛がきたあとには必ず来客がくる事である。不思議と一致しておこる、1度2度なら偶然と片付けてしまうがそれに気がついてから記録を取ると100%一致している事がわかった。しかし、それがわかるにつれて痛みと性別が相関性がある事に気がついた。痛みが軽いときには男。痛みが激しいときには女の来客がくる。そして、一度会った事がある人は、2度目からは痛みが出ないのである。不思議な頭痛である。
あるとき、アイヌに関しての記事を書いてくれと依頼された。北海道のアイヌの居住区に向かいその村の古老にあって話を聴いた。アイヌの生活の過去から現在への変遷という名目だった。アイヌは伝承が多く、また、儀式も多い。その伝承を古老が説明していたときである。自分の症状に似た頭痛の話が出てきた。ノイポロイクシという霊が取り憑くと予知能力がつき、来客がくる事を頭痛として予知ができるようになるという事であった。その話を聴いたときにはまさかという気分でいたが、帰りの飛行機の中で特にする事もなく、一人でとりとめも無い事を考えていると、不思議とノイポロイクシの話を思い出した。もしかすると、自分にノイポロイクシが取り憑いているのではないかという考えに取り憑かれていた。
自分は今年で47歳になる。外見はとてもいいとは言えない。おまけに最近では頭の方も薄くなり、下っ腹も出てきた。とても彼女ができる状態とは言えない。というか今まで彼女ができた事がない。学生の頃はいつもいじめられていた。汚い、臭い。よらないでくれる。女子に様々な罵声を浴びせられるのが日常であった。だから、今あまり人と会わなくても住むライターをしている。会社にも行かなくてもすむし、フリーならば仕事を選ぶ事もある程度可能だ。女性に接する事を極力避けてきた。しかし、彼女がほしくないといったらまるっきりの嘘になる。彼女もほしいし、結婚もそろそろ年齢的にヤバくなって来ている。機内でふとやる事が無く、とりとめも無い考えが頭の中で混沌になりはじめた。女性と親しくなりたい。ノイポロイクシ。さまざまな事が頭の中でぐるぐる回った。そして、その頭の混沌の中からふと気がついたことがあった。取材のノートを取り出し、古老が説明してくれたノイポロイクシに関しての説明を読み直してみた「ノイロポイクシが取り憑くと予知能力がつき、来客を教えてくれる。
頭痛の状態により、男性の来客か女性の来客かがわかる。痛みが軽いときには男性の来客。痛みが激しいときには女性の来客。一度あったことがある人の来訪のときには頭痛はしない。」
自分はいろいろな女性に会ってそのなかから1人でもいいから親しくなってできれば結婚して今のような寂しい、わびしい人生からおさらばしたい。そればっかりが頭の中をぐるぐる駆け回っていた。気がつくと自宅の前についていた。マンションのエレベーターののぼりのボタンをおす。エレベーターは上の階に止まっていてなかなかおりてこない。そのときに彼の頭の中にすばらしい思いつきがおこった。「これで多くの女性と会う事ができる」
彼は誰も彼の事を待つ人のいない寂しい部屋のドアをあけた。仕事部屋に入りホワイトボードの情報をかきちらしたそして満足そうに「やっぱりこの方法で間違いがない」一人つぶやいた。それがついさっきである。彼は手に金槌をもっている。満足そうな笑みを浮かべぶつぶつひとりごとをうわごとのようにつぶやきつづける「これで間違いがない。これで人生が変わる。これで間違いが無い。これで人生が変わる‥‥。」そして満身の笑みを浮かべ金槌を思いっきり上にかざした。そしてその直後「ゴッ」彼は金槌を自分の頭にめがけて振り下ろした。鈍い音の跡彼の顔に一筋の赤い血が流れ落ちてきた。額から鼻を通りは名からポタッポタッと足下にしたたっていく。小さな赤い血だまりが足下にできた。彼は不思議そうな顔をしたそして「おかしいな。そうか、頭痛がよわいんだ。強い頭痛じゃないと女性はこないんだ。」そういうとまた自分の頭に思いっきり金槌を振り下ろした。「ゴジュ」金槌が頭に当たった時に金槌の軌道がずれた。べろんと何かが頭からはがれてぶらさがっている。それを手で触れてみる。「皮?」何か頭からべろりとさがっている。気になる。それを手でつかんでおもいっきり引っ張ってみた。「ばりばりばりばり」よけいぶら下がっているものが大きくなった。取りきれなかったが、自分の目で見えるところまでのびる様になった。「なんだこれ?」赤いゴムのシートの様な物に髪の毛が生えている。そしてそれを伝って血がだらだら流れてくる。目に血が入り視界が赤くなり。よく見えない。そのまま、洗面所に向かった。既に頭痛は無くしびれきっている。「これじゃ痛みは感じづらくなっちゃったよ」ぼやきながら、血だまりを葦で引きづりながら洗面所に立つ。目に血が入って見づらい。タオルで顔をふいた。瞬く間にタオルは血でズブズブになった、でも、視界は開けた。鏡を見た。「あーあ。これじゃ女性がきてももてないな‥。」鏡に写った自分の頭は皮が金槌を当てたところから右耳の所まではがれ落ち耳の上から右肩まで髪の毛が生えた頭皮がぶら下がっていた。皮についた髪の毛は血でぐずぐずに湿って、すでに一部の血液は固まりかけ髪の毛が固まりになってしまっている部分もあった。「痺れるんじゃだめなんだよ。女性にきてもらうには激しい頭痛じゃなくちゃね。」と独り言をいいながらまた金槌を振り上げ自分の頭に渾身の力でたたきつけた「グシャ」「グチャ」今度は2種類の音が同時にした。振り下ろした金槌は彼の頭蓋骨を突き破り、灰色の脳まで達した。砕けた頭蓋骨はそれをその場に引き止めておく頭皮は既に失われていた。細かな粉砕されたかけらをまき散らし。大きな破片は金槌と共に脳みそにくいこんだ。頭蓋骨の破片と金槌が叩き込まれた灰色の組織は、崩れたたらの白子の様にぐずぐずにくずれ、勢い良くそれらが飛び込んだ部分がぐちゃぐちゃになり破壊された頭蓋骨の穴から外に飛び散った。
彼の目玉がぐるりとヒックリ返り白目になった。鼻から大量の出血を垂れ流し。口からは消化器の中でまだ消化されていない食べ物、ほぼ消化されてゲル上のドロドロになった元食べ物が勢い良く吹き出され、その後に口から滝のように汚物が流れおちた。一瞬の後、彼は自分自身の血液と汚物と消化液と脳溝の破片と頭蓋骨の破片が入り交じった溜まりに顔から崩れおちた。3度ほどびくんびくんと痙攣をおこし静かになった。
彼が書いていたホワイトボードにはこう書かれていた
激しい頭痛がする。女性がくる。女性に会える。多くの女性に会えば独り位は自分の事に行為を持ってくれる。頭痛を末には時間がかかる。激しい頭痛を起こせばいい=結婚できる
これが彼の狂気の遺言となった。
その超能力を持たせる霊の中にノイロポイクシというものがあるそうだ。それは家に来客がある前兆’(予知)として急に頭痛を生じさせるものだと藤村久和著「アイヌの霊の世界」に書かれている。
同書によると、ノイロポロイクシは遠方から見知らぬ来客に限って知らせる事ができ、見知っている場合にはおこらないそうだ。ある人は、頭痛が荒々しいときには女性が、緩やかなときなは男性が訪れるといい、訪問理由の概略と来客の年齢までいいあてることができたことを著者は驚きをもって語っている。
アイヌの人たちの信仰によると、こうした憑神は個々の霊を共にこの世にやってきて胎児に憑き、その個人が死ぬとともにその遺体から個人霊共々
の世に帰って行く事になっているという。
(妖鬼化 日本編 水木しげる著 抜粋)
頭痛持ちである。よく頭痛になる。風邪を引いたからとか、特に理由も無く急に頭痛がおこる。
市販の鎮痛剤を飲んでも効果がない。脳に異常があるかもしれないと心配になり神経内科を受診した事もある。CTまで撮影したが、これという原因も疾患も発見されなかった。まあ、生命に危険を及ぼす物ではない事はわかっているのだが、どうにも頭痛が始まると我慢できない。
頭痛にもいろいろあって、軽いときもあれば、頭の中で金属製のバケツか鉄鍋でもたたいているかのようにがんがん痛むときもある。軽いときは我慢もできるが、重いときには布団から起き上がる事もできない。
しかし、何か最近わかりかけてきた事がある。頭痛があると必ず誰かがマンションに訪れてくる。私の仕事はライターなので、自宅と仕事場を兼用している。取材のときには何日か家を空ける事もあるが、ほとんどが自宅にこもりっぱなしである。そこで気がついた事は、頭痛がきたあとには必ず来客がくる事である。不思議と一致しておこる、1度2度なら偶然と片付けてしまうがそれに気がついてから記録を取ると100%一致している事がわかった。しかし、それがわかるにつれて痛みと性別が相関性がある事に気がついた。痛みが軽いときには男。痛みが激しいときには女の来客がくる。そして、一度会った事がある人は、2度目からは痛みが出ないのである。不思議な頭痛である。
あるとき、アイヌに関しての記事を書いてくれと依頼された。北海道のアイヌの居住区に向かいその村の古老にあって話を聴いた。アイヌの生活の過去から現在への変遷という名目だった。アイヌは伝承が多く、また、儀式も多い。その伝承を古老が説明していたときである。自分の症状に似た頭痛の話が出てきた。ノイポロイクシという霊が取り憑くと予知能力がつき、来客がくる事を頭痛として予知ができるようになるという事であった。その話を聴いたときにはまさかという気分でいたが、帰りの飛行機の中で特にする事もなく、一人でとりとめも無い事を考えていると、不思議とノイポロイクシの話を思い出した。もしかすると、自分にノイポロイクシが取り憑いているのではないかという考えに取り憑かれていた。
自分は今年で47歳になる。外見はとてもいいとは言えない。おまけに最近では頭の方も薄くなり、下っ腹も出てきた。とても彼女ができる状態とは言えない。というか今まで彼女ができた事がない。学生の頃はいつもいじめられていた。汚い、臭い。よらないでくれる。女子に様々な罵声を浴びせられるのが日常であった。だから、今あまり人と会わなくても住むライターをしている。会社にも行かなくてもすむし、フリーならば仕事を選ぶ事もある程度可能だ。女性に接する事を極力避けてきた。しかし、彼女がほしくないといったらまるっきりの嘘になる。彼女もほしいし、結婚もそろそろ年齢的にヤバくなって来ている。機内でふとやる事が無く、とりとめも無い考えが頭の中で混沌になりはじめた。女性と親しくなりたい。ノイポロイクシ。さまざまな事が頭の中でぐるぐる回った。そして、その頭の混沌の中からふと気がついたことがあった。取材のノートを取り出し、古老が説明してくれたノイポロイクシに関しての説明を読み直してみた「ノイロポイクシが取り憑くと予知能力がつき、来客を教えてくれる。
頭痛の状態により、男性の来客か女性の来客かがわかる。痛みが軽いときには男性の来客。痛みが激しいときには女性の来客。一度あったことがある人の来訪のときには頭痛はしない。」
自分はいろいろな女性に会ってそのなかから1人でもいいから親しくなってできれば結婚して今のような寂しい、わびしい人生からおさらばしたい。そればっかりが頭の中をぐるぐる駆け回っていた。気がつくと自宅の前についていた。マンションのエレベーターののぼりのボタンをおす。エレベーターは上の階に止まっていてなかなかおりてこない。そのときに彼の頭の中にすばらしい思いつきがおこった。「これで多くの女性と会う事ができる」
彼は誰も彼の事を待つ人のいない寂しい部屋のドアをあけた。仕事部屋に入りホワイトボードの情報をかきちらしたそして満足そうに「やっぱりこの方法で間違いがない」一人つぶやいた。それがついさっきである。彼は手に金槌をもっている。満足そうな笑みを浮かべぶつぶつひとりごとをうわごとのようにつぶやきつづける「これで間違いがない。これで人生が変わる。これで間違いが無い。これで人生が変わる‥‥。」そして満身の笑みを浮かべ金槌を思いっきり上にかざした。そしてその直後「ゴッ」彼は金槌を自分の頭にめがけて振り下ろした。鈍い音の跡彼の顔に一筋の赤い血が流れ落ちてきた。額から鼻を通りは名からポタッポタッと足下にしたたっていく。小さな赤い血だまりが足下にできた。彼は不思議そうな顔をしたそして「おかしいな。そうか、頭痛がよわいんだ。強い頭痛じゃないと女性はこないんだ。」そういうとまた自分の頭に思いっきり金槌を振り下ろした。「ゴジュ」金槌が頭に当たった時に金槌の軌道がずれた。べろんと何かが頭からはがれてぶらさがっている。それを手で触れてみる。「皮?」何か頭からべろりとさがっている。気になる。それを手でつかんでおもいっきり引っ張ってみた。「ばりばりばりばり」よけいぶら下がっているものが大きくなった。取りきれなかったが、自分の目で見えるところまでのびる様になった。「なんだこれ?」赤いゴムのシートの様な物に髪の毛が生えている。そしてそれを伝って血がだらだら流れてくる。目に血が入り視界が赤くなり。よく見えない。そのまま、洗面所に向かった。既に頭痛は無くしびれきっている。「これじゃ痛みは感じづらくなっちゃったよ」ぼやきながら、血だまりを葦で引きづりながら洗面所に立つ。目に血が入って見づらい。タオルで顔をふいた。瞬く間にタオルは血でズブズブになった、でも、視界は開けた。鏡を見た。「あーあ。これじゃ女性がきてももてないな‥。」鏡に写った自分の頭は皮が金槌を当てたところから右耳の所まではがれ落ち耳の上から右肩まで髪の毛が生えた頭皮がぶら下がっていた。皮についた髪の毛は血でぐずぐずに湿って、すでに一部の血液は固まりかけ髪の毛が固まりになってしまっている部分もあった。「痺れるんじゃだめなんだよ。女性にきてもらうには激しい頭痛じゃなくちゃね。」と独り言をいいながらまた金槌を振り上げ自分の頭に渾身の力でたたきつけた「グシャ」「グチャ」今度は2種類の音が同時にした。振り下ろした金槌は彼の頭蓋骨を突き破り、灰色の脳まで達した。砕けた頭蓋骨はそれをその場に引き止めておく頭皮は既に失われていた。細かな粉砕されたかけらをまき散らし。大きな破片は金槌と共に脳みそにくいこんだ。頭蓋骨の破片と金槌が叩き込まれた灰色の組織は、崩れたたらの白子の様にぐずぐずにくずれ、勢い良くそれらが飛び込んだ部分がぐちゃぐちゃになり破壊された頭蓋骨の穴から外に飛び散った。
彼の目玉がぐるりとヒックリ返り白目になった。鼻から大量の出血を垂れ流し。口からは消化器の中でまだ消化されていない食べ物、ほぼ消化されてゲル上のドロドロになった元食べ物が勢い良く吹き出され、その後に口から滝のように汚物が流れおちた。一瞬の後、彼は自分自身の血液と汚物と消化液と脳溝の破片と頭蓋骨の破片が入り交じった溜まりに顔から崩れおちた。3度ほどびくんびくんと痙攣をおこし静かになった。
彼が書いていたホワイトボードにはこう書かれていた
激しい頭痛がする。女性がくる。女性に会える。多くの女性に会えば独り位は自分の事に行為を持ってくれる。頭痛を末には時間がかかる。激しい頭痛を起こせばいい=結婚できる
これが彼の狂気の遺言となった。