日曜日の夜、従姉妹から電話があった。珍しいことなので、少し身構えた。私よりも7〜8歳年下のかわいい従姉妹。妹とも少し違う、けれど愛おしい大切な存在だ。



 「今、電話いい❔」優しく聞かれ、私はつい、いつもの心配症おばさんの猫なで声で答える。「大丈夫よ。どうしたん❔」彼女は、若い頃からの持病を持つ。それは、父から受け継いだ遺伝性疾患で、大腸全摘出という大きな手術を受けた。私にとっては、叔父さんの困難な病気とストーマのことは、幼い頃から知っていた。



 その病気が遺伝性のもので、一人娘の従姉妹にまで影響するとは。実母からの電話で、従姉妹の病気と大腸を全摘した事実を知らされ、泣いたことをはっきりと記憶している。とても残酷な病気の一つだと思う。



 従姉妹は電話で、最近の身体の不調(頻回な嘔吐、食欲不振)と10キロの体重減少について、教えてくれた。そして、現状に1〜2ヶ月耐えていたが、どうにも辛く姑に他の病院に移ることを勧められて、どうしたらいいか。頼れる人が、他にいないと話した。夫も主治医の説明に、納得できない部分があるのだと言う。



 あまりのことに言葉を失いながら、彼女を不憫に思い涙が溢れた。『どうして、こんなに彼女ばかり』なぜ❔と。電話の後も涙が出て、夫も驚いた顔で見ている。私は、スマホで情報を集めながら、従姉妹の病気や現状、何の知識や情報が足りないのか、何を誰に聞けば早いのか、私は何をどの順番ですべきか…ノートに図解した。



 出来るだけ早く、効率的に。従姉妹の話も、もっと詳しく聞かなければならない。的を射て、重複せず、遠回りせず、押しつけず、踏み込みすぎず。焦らずに❕自分に言い聞かせる。



 従姉妹と話す度、私のメソメソは落ち着き、彼女のいつもの朗らかさに救われた。幾度も入院と手術を乗り越えて、子育てをしてきた彼女は、とても強い。私に、無駄な同情を許さないと示すように…淡々と「昨日は、吐かなかった。話を聞いてもらったら、安心して直ぐに寝たよ」と。



 少しずつ、私も冷静に判断できた。短大時代の同級生にラインして、電話で相談した。考えや思いが、まとまっていく。困難で救いのない状況に思えたが、主治医の見たても徐々に理解した。セカンドオピニオンを検討すべき病院も絞れた。



 今では、大学病院の外来師長である同級生。久しぶりに話すと、学生時代と何も変わらない様子に胸が熱くなる。幸いにも、「外来で出会う先生だから、話を聞くことは出来るよ」と頼もしくあたたかい言葉を貰い、ほっとした。同級生を頼って本当に良かった。



 今日も、夏休みの子育てに追われているであろう従姉妹の体調やその家族の支え。私に出来ることは、あまりにも少ないが、従姉妹を見守り続けたい。従姉妹家族に平穏で、幸せな日々がたくさん訪れますように。