キャプテン 出口 -5ページ目

キャプテン 出口

人はどうしたら動く、会社はどうしたらまとまる?
私、出口晃司が小・中・高と没頭した野球部の経験をもとに人の育成、組織マネジメント関する秘訣を、キャプテンという立場になって教えます。

石油輸出国機構(OPEC)は28日臨時総会で加盟国14ヵ国の原油生産を日量3250万~3300万バレルに制限すると一転合意した。


これは「減産」の意味合いがあり、OPECが減産するのはリーマンショックの金融危機以来8年ぶりである。


そもそも原油価格はどんな動きをしていたかというと、2001年1バレル16ドル台だった原油価格は、OPECの減産・BRICsの高度成長・欧米の金融バブル・投資マネー流入などの要因で、2008年7月には1バレル147ドル台と9倍にも高騰していた。


それが2008年のリーマンショックの金融危機で、わずか半年で1バレル33ドル台へと1/4も暴落する。そしてそのリーマンショック対策として行われた米の金融緩和政策に伴い、過剰性流動性供給とドル安で国際商品は全面高となる。そして33ドル台まで下落した原油価格も再び100ドル台へと回復する。


ところが、北米のシェール革命により2014年から原油のシェアがOPECから安価な北米に移り、1バレル100ドル台だった原油価格も20ドル台へと暴落する。OPECもシェアを取り戻すために増産を余儀なくされる。


2016年に入り、北米のシェール企業もさすがに1バレル20ドル近辺は生産コスト割れという見方から40ドル台へと切り返すものの、原油価格の急落は産油国の財政を苦しめOPECは何度となく「増産凍結」にむけて協議を進めたが、増産余地を確保したいイランの同調が得られず見送られていた経緯がある。


9/28のOPEC臨時総会の前日、会合に参加を予定していた非加盟国ロシアがOPECの足並みの乱れを理由に出席を見送った。事前予想では、今回の総会でもOPECは「増産凍結」にたどり着けないとの見方が大多数であった。
ところが蓋を開けてみれば一転、「増産凍結」にとどまらず「減産」に踏み込み、OPEC加盟国が停滞する原油価格に強い危機感を抱いていると読み取れる。


この発表を受けNY原油先物価格は前日比5%高と高騰している。ただ減産方法が未定なため11月に行われるOPECの定例総会までは不透明さも残る。
このまま原油価格は上昇トレンドに乗るのか、それとも一時的な熱で終わるのか、いづれにしても原油価格は世界経済と関連するため目は離せない。


2014年、日本はアベノミクスの一環として日銀が、2年間で2パーセントの物価上昇を目標として質的・量的緩和に踏み切った。しかし2年経っても2%の物価上昇は達成せず、その理由の1つに「原油価格の下落」を上げている。今回のOPECの減産合意により、原油価格が上昇すれば、日銀が掲げた2%の物価上昇も実現できるのか、様子を見てみたいものである。