内なるヒマラヤへの帰還の詩
I. 幻影のラットレース
地平線の彼方まで続く 混雑した道を見よ 人々は競い、走り、何かを求めて彷徨う 二つの目は外の世界の「二元性」に眩(くら)み 成功と失敗、愛と憎しみのはざまで踊らされ
君の心は奇術師だ 強力なエゴという名の鎖で 君自身を縛り上げ 思考が現実という幻(まぼろし)を作り出す 君は術にかかり 目覚めたつもりで眠っている
祭壇に座る者たちは言う 「我に従え」と 彼らは自らを神とし、目的地と名乗る だが聞け、それは搾取だ 魂の迷路への誘導だ 盲信は暗闇へと続くが 信頼と実践は自己(真実)へと続く
II. 空(くう)からの降下者
私はかつて鋼の翼で空を引き裂いた いま、ヒマラヤの沈黙の胎内から来て 氷の洞窟で、地の中で、水底で 呼吸を止め 死を超えた静寂の果てから 君に伝える
「テーロ!止まれ!」
※「Thero(テーロ)」はヒンディー語で「待て/止まれ」を意味し、ババジがよく使う表現
その狂気じみた外への旅を 今すぐやめよ 君は何処へも行く必要はない 何も探す必要はない 世界を掴んでいるその手を離せ 世界は君を縛ってなどいない だが君は世界を離さない その執着(ゆめ)から目を覚ませ
III. 私は橋
私は君のマスターではない 君のグルではない 私を崇拝するな 私を目的地にするな 私の足元にひざまずくな
私は「自然」だ 私は「海」となった 私はただの「橋」 君が君自身へと渡るための 通過点に過ぎない
過去の記憶を捨て 借り物の知識を捨てて 裸の心で 冒険心だけを携えて来たれ
IV. 内なる聖域の開門
君の身体は寺院である 外を見る二つの目を閉じ 内なる目を開け そこで二元性は溶け去り すべては一つとなる
「テーロ!止まれ!」
決意の炎を灯し 肉体を脱ぎ棄て、心が消え去り、意識の深淵へと潜る そこはヒマラヤよりも深く すべての”何故”という問いの終焉
V. サマディ(究極の帰郷)
君は探求者ではない 君自身が「道」なのだ 君は巡礼者ではない 君自身が「聖地」だ
大地が君を支え 水が君を流し 火が君を燃やし 空(くう)が君を包み込む 君は世界のちっぽけな部分ではない 全一なる宇宙そのもの
「私は誰か」という問いが消える場所 それが解放 それがサマディ
さぁ家へ帰ろう 最も遠くて最も近い場所 おかえり 君は、最初からそこにいたのだ(笑)
