ヨーロッパの美意識、ひどい修理、フィッティングパーツなど | ヴァイオリン技術者の弦楽器研究ノート

ヴァイオリン技術者の弦楽器研究ノート

クラシックの本場ヨーロッパで職人として働いている技術者の視点で弦楽器をこっそり解明していきます。
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こんにちはガリッポです。

2週間ほど涼しかったのがまた1週間ほど猛暑でした。ミネラルウォーターを買うといつものものが品切れでした。別のものを買うととても安いものでした。1.5Lの炭酸入りのものがリサイクル還元を差し引くと、ミネラルウォーターの値段は実質25円ほどです。
普段は水道水で作った日本産の麦茶や水出し緑茶をよく飲んでいます。水道水は地域によって違うようですが、カルシウムが豊富で鍋やポットは真っ白になります。すでにミネラルウォーターです。

ミネラルウォーターで果汁100%ジュースを割って飲んでいます。こちらの人はみなそうしています。
旅行などに行けば飲食店や売店で割高な飲み物を買うことになりますが、コーラやファンタでは砂糖も多く入ってるし旅行ならともかく毎日飲むには適しません。そこで果汁100%のジュースを炭酸水で割るのです。甘味が弱いので売りものになるようなものではありませんが日ごろ飲むにはお勧めです。オレンジ、グレープフルーツがメインでリンゴジュースも良いです。

昔は炭酸は骨を溶かすなんてよく言われていました。カルシウムたっぷりの水を常飲しているので相殺されるのでしょうか?
そもそも最近は言われなくなりました。うちの師匠は歯医者に炭酸水はやめるように言われたそうです。



日本にはヨーロッパのものは高級品としてのみ需要があり輸入されますが、日本人よりお金持ちの人ばかりが住んでいるわけではありません。実際には日本に比べてはるかに安いものがたくさんあります。

当ブログでも一般のヨーロッパの人たちがどんな楽器を使っているかという話をしています。


ヨーロッパの人たちの美意識は日本人にはわかりにくいものです。基本的にアメリカのほうがより実用的なものの考え方をすると思います、「イージー」というやつです。こちらの人たちは「美しい」という言葉をよく使います。

そのヨーロッパ特有の「美しい」という考え方が「高級品」として日本人の眼に映るのでしょう。ところが使ってみると不便だったりします。最初に来たときに、爪切りが無かったので爪切りを買いました。ニッパーのような形のものです。クロームメッキが施され光沢の美しいものでした。しかし爪を切ろうとすると全くうまく切れません。さっそく洗礼を受けました。

商品の外面を作り上げるのにコストを集中させているのでしょう。日本の刃物メーカーなら切れ味にこだわりを持っています。

野菜や果物の皮をむくピーラーを買いました。ステンレスのような金属でできているきれいなものでした。これもまったく皮をむくことができません。それ以来包丁で皮をむいているので練習になります。

工場の人は完成品を試して使ったことがあるのか?と疑問に思います。毎日大量の製品を作ってすべてがゴミになるわけですから困ったものです。仕入れの大手小売りチェーンも一度もチェックしていないのです。



同じようなことはヴァイオリンのあご当てにも見られます。あご当ての本体とネジの金具の部分が別の会社で作られていることでしょう。中国やインドの木工の業者と金属加工の業者に発注して作らせているのです。作っている人たちは設計のデーターが送られてくるだけでそれが何の部品なのかもわかっていないかもしれません。チタン製の高価なものがありますがネジの加工精度が悪くて使い物にならなかったりします。

オールド楽器になると横板の高さが低かったり、表板や裏板の厚みが摩耗して薄くなっています。そうなると通常のネジでは合わないこともあります。同じようなネジはたくさんあって大抵は同じ規格なのでしょうが、それでも微妙にきつかったり緩かったりします。うちの歴史のある店なので金具の部品が山ほどありますが、その中から合いそうなものを探すわけです。あるオールド楽器では歪んでしまったあご当てのネジを交換するのに半日以上かかってしまいました。まともに計算すれば3万円くらいの技術料です。

プロのヴァイオリン奏者でしたが結果として音が良くなったと言っていました。がっちりとしっかり固定できることが良かったのだと思います。労力が報われます。純粋に商売だと考えていたらやってられないです。
チタン製の金具は軽量な金属として市販されています。しかしメーカーのカタログにはどこにも「音を良くする」などとは書かれていません。我々の業界では「軽い=音が良い」という思い込みがあるため高い値段で売っていれば高性能だと思い込むのです。


ひどい安物が多いです。企業が利益を上げるために物を作るならできるだけ手を抜く「努力」が必要です。こだわった製品を作っているメーカーの大半は数年後には身売りしていることでしょう。

だからと言って高いものを買ったら大丈夫かというとそれも違うのです。うちの会社に導入した照明システムも決して安いものではありません。誤作動が日に日にひどくなり技術者が久しぶりにやってきて自分の会社が売った製品を「クソ」と言っていました。照明会社の社長が「美しい」と絶賛するのと技術者の言うことが違います。現場では手に負えないと制御コンピュータの本体を持って帰ってしまいました。
それを買ってしまううちの社長がヨーロッパ人の感覚を持っています。


逆に考えると日本の場合にはトラブルや故障に対してとても神経質だということです。照明器具は電圧が違うので日本のものを直輸入することはできません。日本のメーカーも営業力の限界があって参入していないのです。昔から電球の切れやすさは欧米ではとんでもないです。アメリカに住んでいた親族によれば電球をいくつもセットするような照明器具なら毎日一個切れるみたいな感じです。エジソンが電球を発明した国です。

日本の場合には不満や欠点が無いことに労力をかけているでしょう。その結果見た目の美しさではやはりヨーロッパの企業にはかなわないです。

私は日本の企業の製品を「美しくはないけども悪いところが少ない」と同僚にも薦めています。

最近では日本企業の製品も怪しくなってきました。偉そうに言っておいて恥をかくことにもなりかねませんのであまり日本製品をプッシュできなくなってきました。


そういう裏が長年いると見えてくるものです。それもヨーロッパの人たちの不思議な感覚です。
基本的に日本人よりは総合的なものの見方をするでしょう。日本人にとっては細かいところが納得いきません。
アメリカ人なら便利で楽できるものを好むでしょう。

私はヨーロッパに来て見るものがとてもきれいで日本の靴屋にはないようなおしゃれな靴を買いました。ところが足が痛くなってしょうがありませんでした。そこでアシックスの革のスニーカーを履いていました。
よく日本人の足は幅広で、欧米とは靴が合わないと言います。私もそうかと思っていましたが測ってみるとそうでもなくDワイズという欧米では普通の幅でした。
一方店員などが客を待たせることに寛容なため、なにかと並ぶことも多いので暇つぶしに足元を見てみると、靴がひどく変形して履いている人をよく見ます。靴底に対して足の幅が広すぎるのです。

別に西洋人の足の幅が細いということは無いのだと思います。幅の狭い靴を無理して履いているのでしょう。家の中でも靴を履いているのですから日本人とは違います。昔から靴というのはそういうもので昔は子供のころから革靴を履いていて、そのように足が育って行ったのでしょう。
同僚にこっちの靴は足が痛いと言うと「軟弱だ」と言われました。靴の不快感を気にしないのです。
それはやはり日本人が昔は靴を履いていなくて窮屈で邪魔くさいのを嫌がるのでしょう。赤ちゃんに靴下をはかせてもすぐに脱いでしまいます。
家の中で靴を履いていないだけでなく昔の子供は裸足や下駄で自由に足が育っていたことでしょう。
一方オランダなどは木靴を履いていました。土産物で今でもあるでしょうが、実際に戦前の写真や記録映画を見ると本当に木靴を履いていたようです。革靴くらいで音を上げるようじゃ軟弱すぎます。



それに対してさすがに問題を抱える人がいるのでしょう、足の健康を売りにした靴メーカーや専門店、中敷きなどがあります。障害やケガの後遺症など医学的な面もあります。

最近では「wide fit」と表示された靴が売られています。
アシックスに変わるものとしてアメリカメーカーのワークシューズをいくつか試してみましたが、これは幅広に作られています。キャタピラーとスケッチャーズは幅広に作られています。これらはとても安いのに丈夫で実用的なものだと思います。アシックスほど足にフィットして体重を足の裏全体に分散させることはできません。でもヨーロッパのものよりはましです。イギリスのメーカーで快適さが売りのドクターマーチンでも怪しいです。足裏のフィット感は安物の作業靴と同じようなもので見た目は良いのにやっぱりヨーロッパか…と思います。
世界の作業靴の情報が欲しい人がいるのでしょうか?


したがって欧米の専門家も幅が広い靴のほうが快適だということを知っているのでしょう。ただし伝統があって細長い靴はよりフォーマルなものでは我慢して履けということでしょう。


もう一つの例としては高級車でステーションワゴンが多いことです。うちの社長もそうですが、ステーションワゴンがとにかく多いです。日本人ならより実用性を重視して箱型の車を好みます。もしくは燃費性能に特化したものです。アメリカ人ならトラックです。それに対してヨーロッパの人は昔ながらの高級車に実用性を足したステーションワゴンを好みます。細長いものが好きですね。

服もそうです。ヨーロッパのものは細くて袖も長いです。職人なので多少腕に筋肉があるとパンパンになってしまいます。西洋人ですら長すぎる袖の服を着ているのをよく見ます。
クレームでメーカーも変えるかと言うとそうでもないようです。業界の美意識を貫き通すのがヨーロッパ流なのかなとも思います。

いずれにしても見た目の美しさを重視しているように思います。ヨーロッパの都市は必ずと言っていいほど川が流れています。
川のそばに家を建てれば景色がきれいです。しかし雨が続けば洪水になってしまいます。堤防を作るかと言えば
そんなことはしません、景観を損ねるからです。
日本では広い河川敷があって大きな川は街の真ん中というよりは市町村の境界になっていることが多いでしょう。

他には網戸がありません。
窓を開ければ虫が入ってきて同僚も蚊に刺されたなんて言っています。網をつけると窓もきれいではないし、通して見る景色も美しくありません。

あらゆる面でヨーロッパの人たちは実用性よりも「美しさ」を重視してきたと感じます。それが芸術であり音楽でもあります。それを生み出す道具もアメリカ人や日本人の感覚とは異なるものだったとしてもおかしくありません。


私自身も弦楽器の形状が音響的に改良の余地が無いとは思いません。しかし形が決まっているので数百年にわたって無数の職人が様々な試みを試しても初期のものを凌駕することはできなかったのだと思います。性格は違うものができたでしょうが技術革新と呼べるほどのものはありません。

弦楽器の基本形に対してはとても頭が固いです。その中でユーザーは自分の気に入るものを選んでいます。


とてもヴァイオリンに興味があるというお客さんが来ていました。自分が弾いたことのある楽器の話をして1万から2万ユーロで何か良い楽器は無いかと探していました。120~250万円くらいです。日本なら学生でも300万円の新作楽器を持っていますからすごく高いということはありません。

そのクラスになるとさすがに作者の名前が特定されているものです。100年くらい前のドイツとかチェコのマイスターの楽器でどれも教科書通りに美しく作られたものです。
その方が弾くとアマチュアとしてはかなりの腕前でどの楽器を弾いても耳障りな嫌な音はしません。何を弾いても美しい音がしました。
これらのヴァイオリンで何の不満があるのでしょうか?
私は聞いていてありませんでした。

もし音だけに特化するなら私がいつも言っているようにもっと安くても良いものがあると思います。そういう意味では決してコストパフォーマンスが最高とは思いません。しかし美しく作られた楽器で美しい演奏をしていてヨーロッパの美意識が発揮されていたと感じました。


全く違う形の楽器ならもっと優れたものもできるかもしれません。作るほうもそうなら買う方も変わった楽器は勇気がいります。
一般的な産業ならプロモーションによって新製品も広く知られて評判も定着します。弦楽器の業界でテレビコマーシャルを打てるような大きな会社はないです。ヤマハでもユーザーが専門的すぎてテレビコマーシャルは難しいでしょう。釣りの番組では釣り用品のコマーシャルをしています。同じようにクラシック音楽の番組があれば可能かもしれませんが、それでも鍵盤楽器や管楽器など売れ行きのほうを優先するでしょう。それ以前にクラシック音楽の番組は民放では難しいです。

カーボンの弓でも当初は木製に変わる高級弓として開発されたものが成功しませんでした。安価な価格帯では好みによっては選ばれることもあるという程度です。それに対してスポーツ用品なら木製の古いものは博物館行きです。
雑誌は多少はありますが、弦楽器を弾いている人がみな読んでいるということはありません。現メーカーは必ず広告を出し新製品がたくさん出ますが、こちらが紹介しない限りほとんど誰も知りません。


変わった姿の弦楽器を普及させるのはとても難しいと思います。フォーマルな弦楽器が主流であり続けると思います。そうなると技術革新は起きようがありません。

したがって伝統に従って美しく作られた高級品と、手抜きして作られた安物のどちらかしか売り物にならないということです。手抜きして作られたものが破格の値段で売られていれば私は高すぎると感じます。



修理の話です。
ヨーロッパ人の美意識があると言ってもお客さん個人レベルで美しい楽器を分かっている人はまれです。我々職人たちが製造者の理屈を貫き通しているだけです。
そのためとんでもない手抜き楽器を持っている人がたくさんいます。


これも修理がひどいです。
点検と清掃を依頼されましたが、弦をはじいてみればビリつきがあります。本人が気づいていないなら問題はありませんが、専門家として健康な状態とは言えないでしょう。

裏板や表板をタッピングしてみるとそこかしこでビリつきがあります。スネアドラムみたいなものです。
この前も古い量産品の整備でビリつきがあり、パフリングに隙間がありました。裏板や表板の至る所にありパフリングが表板や裏板にピッタリとはまって接着されていないので間に隙間があってそこがビリついていたのです。おそらくパフリングも深く溝を掘りすぎていていエッジの強度もなくなっているのだと思います。

この楽器でもまず裏板のビリつきが起きる箇所のパフリングに天然接着剤のにかわを流し込んでみました。そこは無くなりましたが他にいくつも箇所があるようです。表板のひびはパッと数えただけでも23か所くらいはあります。そこにもにかわを流し込みました。タッピングでのビリつきは軽減しました。弦を張ってみるとまだビリつきはあるようですが、最初のようなスネアドラムのような感じはありません。本人がスネアドラムで良いと思っているのならそれでいいですけども。
弓で弾く場合は弦や胴体の振幅の幅が小さいので問題にならないかもしれません。
一方神経質にとても気にする人もいます。

点検を頼まれたのでやれることはやっておきました。またしばらくすればビリつきが再発することでしょう。本格的には表板を開けてすべて接着しなおす必要があります。傷も古いため完全に直せるかもわかりません。割れたての傷ならほとんど見えないくらいに直せますが、古くなった傷は間が空いています。

過去の修理がひどかったわけですが、裏から当て木で補強はされています。しかし割れがしっかり接着されていません。

このような修理でもお金をもらっていたのですから職人の個人差は大きいものです。

もしこのような割れをきっちりと修理するような職人が自分で楽器を作るとしたらどうでしょうか?
おそらくきちっとした楽器を作ると思います。そうなると手間もかかって値段も高くなります。
多くの消費者にとっては高すぎるものとなるでしょう。そのため手抜きの楽器が多いのです。

ユーザーにとって最もコストパフォーマンスに優れた楽器は見た目は雑に作ってあっても、音響面、強度、演奏面に特化したものです。しかしそのようなものはめったにありません。逆のものはたくさんあります。見た目はそんなに悪くないと思っても中身はめちゃくちゃです。


きちっとした楽器を作る人は必要性は無くても見た目をおろそかにするのは嫌なはずです。マーケティングの視点なら消費者の求めるものを作ることが正しいのです。

しかし職人は自分の美意識を貫き通すのです。性格の問題です。


技術的にみると音の良さと見た目の美しさは関係ありません。当ブログでは物理現象としてそのように言っています。粗悪品であればもちろん影響があります。音以前の問題もたくさんあります。


市町村が運営する地元の音楽学校でコントラバスを購入することになりました。うちの会社にも見積もりを求められました。当然一番安い値段ではありません。インターネットを見ればはるかに安い業者があります。弦楽器専門店でない総合楽器店でもはるかに安い値段のものがあります。
自治体の予算で楽器を購入するので安いものを選びます。

以前には中国製のとても安価なヴァイオリンやチェロを購入した学校があります。教師たちは調子の悪い楽器に苦労したようです。調弦すらうまくできなくて先生がレッスンの時間の多くをペグとの格闘に費やしたそうです。
駒のカーブが正しくないと弓がほかの弦を触ってしまいます。初心者ではよくあるミスですが、楽器がひどければ上級者でも避けられません。これらをやり直すと買った楽器の値段くらいになります。もっと安い楽器なら弦のセットのほうが楽器より高いくらいです。

コントラバスも新品で買ってまともに弾けないというものがたまに持ち込まれます。指板を削りなおすのに半日くらいかかります。それで3万円です。

中古品でもべニア板の3/4のチェロが持ち込まれました。駒を見ると高さやカーブがめちゃくちゃでした。よく見ると駒は4/4のものがつけられていました。素人が修理したのでしょう。テールピースも弦もすべて4/4のものがついていました。他のチェロのものをつけたのかもしれません。
下手すると修理代が10万円くらいになりますが、直したところで音はひどいものです。


音楽学校の担当者はうちの薦める楽器が欲しいようですが、予算を得るのに苦労しているようです。

したがって安い楽器で十分なんて言うつもりはありません。しかし無駄に高いものを買う必要もないと思います。

うちでは中古楽器が出てきたときにこれは良いとか悪いとか判断します。メーカー名ではなく品質で楽器を見ます。品質が良いものであれば売り物になります。そうでなければただのゴミです。
音については人によって好みがいろいろあるのでまともに作ってあるものならいつか買う人が見つかるだろうというくらいのスタンスです。




今作っているヴァイオリンには依頼主の希望でこのフィッティングパーツになると思います。

オットー・テンペルのドイツ製のもので材質はツゲに、白い部分はマンモスの牙です。象牙に変わるものとしてシベリアで発見されるマンモスの牙が使われています。
当ブログでもかつてはハラルド・ローレンツのフィッティングを使っていましたが、入手が困難になりました。
テンプルは仕事が甘いと書いていましたが今となっては高級品です。値段も年々上がっています。一昔前は中級品くらいに思っていましたが、今では高級品です。
仕事が甘いことは間違いありません。もし弓でこのような精度なら一流の職人の弓とはみなされないはずです。
しかし消耗品であることを考えれば材質が良いので十分高級品と考えて良いでしょう。
仕事の甘さによってペグを手に持った時、角が当たって痛いということもなく実用的には優れたものです。
注意点は飾りの輪っかがよく取れます。なので私は接着剤を流し込んでおきます。

フィッティングパーツは種類が多いためうちで在庫を持っているのは代表的なものだけですが、注文すればすぐに入手できます。
これは通常のツゲで杢が入ったものはセットでしか販売されていないためうちでは使っていません。ペグが一本折れたときにもう一セット買わなくてはいけないことになります。
しかし補修部品はカタログに無くても応じてくれるとは思います。スペアの輪っかを売ってもらったり、チェロのアジャスターの部品を買ったこともあります。でも時間は結構かかることがあります。通常は商社などが間に入ってストックしているようです。

私も日本にいたころショーケースに入った杢入りのテンペルのフィッティングパーツを見たことがあります。最高級ドイツ製と謳われているでしょう。私は中級品と思ってしまいますが商売するのならそれではだめなのでしょうか?私の言うことは厳しすぎるかもしれません。
実際中級品を手ごろな値段で買えるのは賢い買い物だと思います。情報としてはそれで正しいと思いますけども。世の中には高級と書いて売ってるものが多すぎます。「高級」で中級くらいのものでしょう。日本で商売人が最高級と言うのは中の上くらいのものですね。値段だけは最高級になっていますが。


高級フィッティングにしたから音が良くなるようなものではありません。
これより安いものとなると中国やインド製の本当に安いものです。中間的なものがないのです。大半は加工はもちろん材質も悪いものです。音がどうとかいう以前にツゲのものは材質が悪すぎて弦が食い込んだり割れたりしやすいものです。


その中インドのもので材質の良いものがあってローズウッドの代替品としてタマリンドという木材を使ったこともあります。加工もテンペルに迫る中級レベルです。
ローズウッドは規制が厳しくなってきたのでテンペルでも代替の材料のものが発売されています。
そういうものにも注目しています。


耐久性や機能面では黒檀が優れているのでうちでは普通は黒檀のものを使っています。しかしツゲのものはオールド楽器に使われることが多いのでアンティーク塗装のものにはマッチします。ヨーロッパ的なもので見た目は美しいというものです。材質が良いものなら十分使えます。
それで音が良くなるとか、調弦がしやすくなるとかそういうことは期待してはいけません。