去る3月23日(土)、東京都商業高校合同学習「東京プランニング・ラボ」の企画発表会が開催され、今年度の全プログラムが終了しました。
「東京プランニング・ラボ」とは、都立商業高校1、2年生の6チームが、都内の6企業(食品、トイレタリー、金融、化粧品、メディア、出版) からマーケティング課題をもらい、学習を重ねながらそれぞれの企画作業を進めていくプロジェクト学習の総称です。
次のような企業・団体からご協力を頂き、自社の経営課題に沿ったプランニングテーマを頂戴しました。
先行知識を持たない高校生に、わずか6回でマーケティングを学ばせるのは至難の業です。
さらに毎回、対話し、考え、発表するアクティブラーニングを展開する方針でいたため、座学内容は極力絞らざるを得ません。
ただそこは、武蔵野美大の学生(技術はプロ級)にTAとして参加してもらったり、企業の方には訪問ヒアリングに対応してもらったりして、学びの多角化に務めました。
生徒たちからは「わかりやすかった」「何も知らなかったけど参加して自信につながった」「マーケティングがこんなに楽しいとは思わなかった」などの評価を頂くことかできました。
最終回の3/23は、企業関係者もお呼びしてのプレゼンテーションです。
新商品開発提案やらVtuber提案、webサイトでの物語広告、ターゲットの絞り込み、ポップアップストアなど、いろいろな角度からの発想ができていたと思います。
もちろん予算的・物理的な制約についての議論に欠ける面はありましたが、その分自由で、のびのびとした提案になっていたと感じました。
昨夏より、講義計画、事例収集、企業への交渉、教材作成、授業、ファシリテーション…といった一連の作業に携わりましたが、商業高校の生徒を相手にするのは新鮮で、大変意義深いものを感じました。
企業も大学も、「商業高校」でいまどのような学習が行われているのか、あまり認知も関心もないかと思います。
商業高校はかつての「簿記や秘書検定、情報系の資格」といったイメージ(これがあるから生徒が集まらない!)を脱皮して、「マーケティング」を核としたPBL(プロジェクト学習)にシフトしていく必要があります。
しかしながら、今はまだ、そのノウハウが学校にはないのが現状です。
また、ただでさえ負担が大きすぎると言われる高校の先生に、新たなミッションを持たせるのは現実的ではないと思われます。
今回、大学のマーケティングの教員として私がそこをサポートしましたが、例えばそれぞれの地域で、企業のマーケッターと高校の学びとを繋げるコーディネーター役の人がいてくれるとよいのかも知れません。
企業経営やマーケティング業務の経験を持つリタイア人材で、地域の商業教育に貢献したいとお考えの方に協力してもらう、などですね。
さて、今回参加した31名の高校1,2年生たちは、次年度、各高校でリーダーシップをとり、新たなビジネスアイデア創出に向けた取り組みに携わる予定です。
TPL(東京プランニング・ラボ)1期生の活躍を、ぜひ期待しましょう!