トラブルメイク・マーケティング | 不況になると口紅が売れる

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顧客との間に、比較的被害の少ないトラブルを故意に起こし、それをきちんと解決することでエンゲージメント(絆)を確立するマーケティング、なんていうのはないものか?

B2B取引やサービス業などにおいては、互いに協力して問題を解決したという体験は、顧客との間で長期関係を構築しうる最高のきっかけとなる。
例えば、エアラインで飛行ができなくなったとする。
しかし、その会社の地上係員が別のフライトへの切り替えをスムーズに行ってくれたような場合、むしろ好感度は上がるだろう。
問題が生じること自体はまずいのだが、問題が生じたときにとってくれた真摯な態度や企業行動の的確さは、企業への信頼感や安心感に大いにつながることとなる。
だから、優秀な営業マンは「問題が発生した時こそチャンスだ」と考える。

ネットフリックス社に「カオスモンキー」というサービスがある。
これは、Amazonクラウド上でわざとシステム障害を起こすためのツールである。
クライアント企業のエンジニアが対応できる時間帯に活動するようにセットされており、そのトラブル解決によって困難を乗り越え、本物の障害が起きても問題なく対処できることが証明できる、ということらしい。

実は先日、コーヒーぶっかけ男が出没している、という話をするなかから、こんなアイデアが生まれた。
例えば珈琲店で、店員が安っぽいTシャツを来ている客めがけて、わざとコーヒーをこぼす。
「申し訳ございません。お客さまには代わりと言っては何ですが、こちらの当社オリジナルTシャツ5800円を着ていただきたいのですが、いかがでしょうか?」と持ちかける。
客は、なんとなく得した気分になるし、企業ロゴの入ったシャツの着用は広告宣伝にもなる…、みたいなバカ話だ。


ちなみに、新橋の新正堂という和菓子屋にある「切腹最中」。
社員が客先で問題を起こした時に、営業部長が購入していくとのこと。
むろん、常連客は某広告代理店(笑)だという。
これは、トラブル発生の瞬間を「笑い」に変えてしまう強烈なプロモーションツールである。
新生堂さんはそんな売り方をしているわけではないが、ユーザーによる用途開発ですね。
ただこうした経験も、エンゲージメントへの第一歩とならないこともない。

まあ、意図がバレると炎上につながるとは思うのだが…。
不文律の営業手法として社内で密かに確立しているようなケースは、あると思うけどなあ。