最近の男は、「守り」を重視する奴が多い。
アイデンティティを誇るのではなく、守るのだそうだ。
いつでもどこでも「傷つかないように」が基本だという。
うーーーむ、だな。
ただ将棋でも、似たような傾向があるかもしれない。
まずは、玉を固めて守る。
とりあえず、守ってから考える。
穴熊は、その代表的な戦法だ。
そんな将棋が、いまや当然だと思われている。
しかし、相掛り戦法というのは、守りを固めようがない。
居玉のまま大乱戦になることも珍しくなく、間違ったら奈落の底を覚悟しながらの戦いとなる。
初手▲2六歩と突いたからには、どんな地獄も味わわなければならない。
そして男なら、こういう相掛りの過酷な戦いを、常に意識しなければいかん、というわけになる。
つまり将棋の本質とは、戦いであるのであって、それを端的に感じられるのが相掛りなのだ。
最初から緊張感の連続。
でもそうした殴り合いがワクワクして面白い、という私のような奴もいるわけで…。
たぶん、こんな本を書けるのは、中川大輔七段だけだろう。
中終盤に繰り出す「武士の手」も含めて、男の指し方というものをご指南して頂きたい。