スポーツアナの分際で | 不況になると口紅が売れる

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 「選手たちは、わかってるんですよねぇ、大事な試合だってことが」

 …といった実況をするアナウンサーがたまにいる。


 あったり前である。

 大事な試合だということをわからずに臨んでいる選手など、どこにもおりゃしないのだ。「浦和レッズは勝てば優勝」って、新聞に書いてあるだろーに。

 にも関わらず、まるでグラウンド上にいる選手たちは、単に走ったり飛んだり跳ねたりする、肉体だけでできた物体であり、脳なんかまったく使っていない、犬並みの存在であるかのような言い方をする。

 こんな言葉にいちいち反応しているこちらもこちらだが、しかし一度気になると、本当にいやらしい言葉に聞こえてくるのである、これが。

 そもそも、選手たちはプロであり、おまえ(アナウンサー)は素人なんだから、選手たちのほうが試合の持つ意味合いとか、その他諸々について深く配慮しているに決まっている。しかし実況アナというのは、神の目でものを見る癖が染みついているのか、こうした無意識に選手を見下した言い方をしがちである。

 だいたい、選手を呼び捨てにすること自体、そうした「選手=動物」扱い感覚を助長する背景をなしているのかもしれない。また昨今の、「アナウンサーである前にファンだ」とする、感情先行型のアンウンサーの存在も、こうした風潮を後押ししているようだ。


 しかし「あの場面、どんな気持ちで打席に向かいました?」

 …と芸もなく聞く、ヒーローインタビューのアナウンサーよりは、まだましかも知れないが。


 いやいや、スポーツ選手を動物並みに扱う男性アナはまだよいほうで、食い物だと勘違いしている女子アナのほうが、さらにタチが悪いかも知れないが。

 

 「分を弁える」という意識が希薄化したのは、いつの頃からだろうか。

 ↑ま、でもこういう漢字を読めなくなってからのことだろうな、きっと。