商品開発の主語とは? | 不況になると口紅が売れる

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紙おむつ屋さんというのは、乳児を持つ主婦は四六時中、紙おむつの機能とブランドについて考えていると思っているらしい。同様に、ビール屋さんはビールのことばかり考え、自動車屋さんは自動車のことばかり考えている。

 それはそれでよい。しかし商品開発のときも、このような目線から逃れられないため、「もの」を主語としたものづくりをしてしまうことが多い。もちろん今日、どんな立派な「もの」をつくったところで、消費者に響くとは限らない。乳児を持つ母親は、「紙おむつ」を求めるのではなく、「赤ちゃんの安らかな眠り」を求めているからである。再三指摘しているが、「ものづくり」という言葉が危険なのは、こうした陥穽に陥るためだ。


 ソニーが「α700」を開発したときに、商品開発の主語を「もの」から転換させること、つまり「カメラというもの」を開発するのではなく、「誰もがよい写真をとれること」を開発しようという方向に切り替えた、という話を聞いた。「ことづくり」を行なったというわけである。

 この「こと」的世界観は、実は80年代くらいからずっと言われ続けてきたことなのだけど、まだまだ体質化していないように思う。それほど難しい話ではない。「もの」を通じて達成したいと思う「こと」は何か、を追求し、そのための手段として自社商品はどうあるべきか、を考えればよいだけである。

 もっとも、その際に「競合」の定義が変わってくる。「家族でゆったりすること」を達成するために、「旅行」の競合が「リフォーム」になったりするわけだ。

 

 主語を、典型的なターゲットユーザーにする、といった方法もある。商品開発のスタート時点で、いったいわれわれは何を開発するのか、といった「主語決定プロセス」をおろそかにすべきではない。

 かくいうソニーさん、ご講演の最後のスライドに「デジタル一眼レフの王道へ」といったコメントが。…うーむ。やっぱりソニーって会社は、いまだに「ものづくり」したいんじゃん。