小説の続き書きました。新版・遠いデザイン4-4 | 産廃診断書専門の中小企業診断士

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ふじのくにコンサルティング® 杉本剛敏 中小企業診断士事務所の杉本です。私はコピーライターとしてネーミングやコピーを作る一方で、中小企業診断士として企業のマーケティングを支援。2021年、2016年に静岡新聞広告賞受賞。これまでに提案した企画書は500を超えます。

 

「彼女、とてもよくやってくれるよ。文字の校正だって細かいところまで見てくれるし、仕事の段取りだって上手い。なるべくこっちに負担がかからないようにしてくれてるみたいなんだ。上司だって、今では、すっかり彼女に任せっきりだよ」

 美紀は外国製の薄荷タバコに火を点け、その軽さと細さを確かめるように挟んだ指先を揺らしながら煙を吐きだした。メンソールの冷ややかな匂いが湿った空気の中に溶け込んでいく。小雨のために開けられずにいるサッシ戸の方から、水しぶきを引くタイヤの音や通行人のくぐもった話し声などがまばらに聞こえてくる。

「あの子、JAに入って何年目なの? 生まれはどこなのよ?」

 自分からふいに視線をはずして、コーヒーを手にした七瀬を見て、美紀は「フフッ」と鼻に抜けたように笑う。

「こんなに長く二人で仕事してきてるのに、まだ、そんなことも聞いてないの、 七瀬さんらしいわね」

 灰皿にタバコをもみ消した美紀はしばらく視線を宙に止めていが、急に何かに思い当たったように小さく頷いてソファから跳ね起きた。手首の赤いバングルが揺れて、スチールラックから覗く小型の置き時計にチラッと目をやる。

「じゃあ、戻るわ。課長が忘れていたそのオリエンに、私も同行しなくちゃならないのよ。まったく、課長ったら、朝突然に言い出すんだもの」

「それって、何のオリエン?」

「分譲マンションの会社って言ってた。古い客から、久しぶりにお声がかかったみたい。七瀬さん、そっちのコピーも頼むわ。私の方から、課長に押しとくから」

 美紀はそういい言って玄関のドアノブを回した。一瞬、明るんだ玄関口が空気が抜けていくような開閉音とともに、また薄暗くなった。

 

 

遠いデザインとは、遺伝子の設計図のこと。

15年前の2001年が舞台の古いお話です。