小説の続き書きました。新版・遠いデザイン2-7 | 産廃診断書専門の中小企業診断士

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ふじのくにコンサルティング® 杉本剛敏 中小企業診断士事務所の杉本です。私はコピーライターとしてネーミングやコピーを作る一方で、中小企業診断士として企業のマーケティングを支援。2021年、2016年に静岡新聞広告賞受賞。これまでに提案した企画書は500を超えます。

2001年 冬

 

高台に新築されたチャペルの真新しい扉の奧には、新郎役を務めるホテルの従業員がすでに待機していた。レストランのウエイターをしているその男は、自分は背の高さで選ばれたとか、冬でも日焼けしているのはサーフィンのせいだとか、初対面のスタッフを前に屈託のない笑顔を見せたが、いざカメラが向けられると、急に顔から強ばりがとれなくなった。

 対照的にモデルの女は、カメラセッティングの合間に起こる談笑の輪に加わろうともしなかったが、ひとたびスポットライトの中に入ると、今度もまた完璧な演技‐パフォーマンスを見せた。

 女の笑顔は不自然すぎるくらい自然であり、均整のとれたその肢体は、まだ手垢のついていない聖書台、リードオルガン、銀メッキの十字架といった室内の調度品を際立たせるように統べて、ファインダーの奧のワンシーンを神の啓示のように切りとった。

 午後はホテルの支配人が立ち会うこともなく、撮影はスタッフたちの裁量で進められていった。35ミリのスナップショットに移ると、ぎこちないままの新郎役が外されて、モデル単独のカットが続いた。肩を落として長椅子に沈みこんだ白いフロックコートの背中に、林田が遠慮がちにねぎらいの言葉をかけた。

 二方向からのスポットライトがモデルの顔を平坦に切り取っていたが、レンズを通して見る女の表情には徐々に豊かな陰影が刻まれていくように小田嶋には見えた。彼は次第に本数が増す撮影済みフィルムをポーチにしまいながら、そこに巻かれて眠る映像が目を覚ました時の出来映えを確信した。

 

 

遠いデザインとは、遺伝子の設計図のこと。

 

15年前の2001年が舞台。

中年男が若い女性に憧れる、よくあるテーマの小説。

この歳になると。そんなことしか書けませんので…。

地域の産業支援を本格的にやりだしてから、

コピーを前みたいに書けなくなったので、

その手慰みのつもりで書いています。