小説の続き書きました。遠いデザイン17-2 | 産廃診断書専門の中小企業診断士

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ふじのくにコンサルティング® 杉本剛敏 中小企業診断士事務所の杉本です。私はコピーライターとしてネーミングやコピーを作る一方で、中小企業診断士として企業のマーケティングを支援。2021年、2016年に静岡新聞広告賞受賞。これまでに提案した企画書は500を超えます。

遠いデザイン17-2

 

2001年 初夏

 

 今の電話の様子では、まだ三谷の耳には入っていないようだ。しかし、JAの方ではどんな事態になっているかわからない。亮子のことだ、オレの密告を簡単に周囲にバラすとは思えないが、それでも彼女にも気心の知れた同僚というものがいるはずだ。何かの拍子に亮子が口をすべらかさないとはいいきれない。もしそんなことになればあっというまに噂がネズミ算式に広がって、JAの職場でオレの密告が半ば公然の秘密と化してしまうだろう。そして、得意先の女を誘惑したという事実は、近々メディア通信社の耳にも入り、川上、川下と、この狭い地方の広告業界を駆け巡っていくだろう。そうなれば、もう仕事が干されるのは目に見えている。もうここは腹を括るしかない。こうなったらこちらから先に電話かけて亮子の様子を探ってみるしかない。

さすがに声が震えたが、電話に出た受付嬢も、それを取り次いで亮子を呼びだしてくれた職員も、今までと変わった様子はなかった。

 電話口の亮子の声はさすがに沈んでいた。七瀬は、あの夜の電話は深刻なものではなかったんだと偽る気持ちが働いて、わざと明るい口調で三谷から言われた用件を切り出し、打ち合わせの日時を決めた。

 もちろん、告白の件には一切ふれなかったし、亮子も短く受け答えているだけだった。受話器を置いた時、彼の額に冷や汗が滲んでいだが、何ごともなかったかのようなあっけらかんとした態度をとったことが、彼女への慰めになったかどうかは疑問だった。

数日後、七瀬はあの懐かしいJAの打ち合わせブースで亮子と再会した。口元に弱々しい微笑みが浮かびそうでいて、何かがそれを消し去っていく。彼女には以前のような明るい輝きのかけらもなかった。目が合うのを避けるように始終うつむいているのもつらかった。

 改訂の内容はチラシの下段にフェア限定の割引クーポン券を刷り込むだけのものだった。この程度ならこんな気まずい対面を何度も繰り返さずにすみそうだ。

 入る時に緊張したJAの店内も七瀬に対して何も特別な表情を見せてはいない。亮子はオレの告白を自分の胸の中にしまってくたんだ、と七瀬は少し安堵した。そしてメモ用紙に簡単なスケジュール表を書き付けて彼女に渡すと、そそくさと席を立った。

 

 

遠いデザインとは、遺伝子の設計図のこと。

 

14年前の2001年が舞台。

中年男が若い女性に憧れる、よくあるテーマの小説。

この歳になると。そんなことしか書けませんので…。

地域の産業支援を本格的にやりだしてから、

コピーを前みたいに書けなくなったので、

その手慰みのつもりで書いています。