小説の続き書きました。遠いデザイン16-3 | 産廃診断書専門の中小企業診断士

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ふじのくにコンサルティング® 杉本剛敏 中小企業診断士事務所の杉本です。私はコピーライターとしてネーミングやコピーを作る一方で、中小企業診断士として企業のマーケティングを支援。2021年、2016年に静岡新聞広告賞受賞。これまでに提案した企画書は500を超えます。

遠いデザイン16-3

 

2001年 春

 

 三十代も終わりにさしかかっている萌子だったが、室長からはまだ独身だと聞かされていた。同じ女のデザイナーとはいえ、萌子と美紀では、外見も性格も全く違うが、色気を感じさせないという点では一致していた。

 生まれつき女らしい女は、最初からデザイナーになろうなどと思いもしないのだろう。七瀬は常々そう思ってきたが、年とともに知り合う女のデザイナーが増えて、それはもはや確信となった。いや、やつらも、最初は女性ホルモンの量も他の女と同じだったのかもしれないが、仕事で男と張り合っているうちに枯渇してしまったんだろう。

いずれにしても、こいつらの目には揃って減点と映るオレの正統さや、生真面目さが、亮子にそのまま加点となることは間違いない。正統的な美の資質のかけらも持ち合わせていないため、それを個性という言葉でねじ曲げ、ごまかすことしか能がない連中。オレは元来、あんな奴らと群れながら生きていく人間じゃなかったんだ。今までてんで価値観のズレた奴らに囲まれて、不当な気苦労を強いられてきたこと自体、不幸だったんだ。

 鼻先にコーヒーカップを突きつけられて七瀬はびくっとした。顔を上げると薄笑いを浮かべた萌子が立っていた。子供向けキャラクターがプリントされたスリッパの片方を宙にぶらつかせながら何かぼそくっているが、ちょうど窓外から流れてきた行方不明者を問うアナウンスの声と重なって上手く聞き取れない。

 普段、仕事部屋にいる時も七瀬はたびたびこの手のアナウンスを耳にしていたが、不思議と街中に設置されているはずの拡声器を見かけたためしがない。

アナウンスが消えると、室内には再び沈黙が訪れて妙な間だけがそこに残った。

七瀬はこの世界から反対側へ抜け出ようとして、もう一度亮子のいる世界を想像してみた。でも、この圧倒的な現実感を前にもうその感触すらつかめない。

「なに? 木田さん、なに? 今、何ていったの?」

 七瀬は急に不安になって、今日初めて萌子の顔を直視した。

 

 

遠いデザインとは、遺伝子の設計図のこと。

 

14年前の2001年が舞台。

中年男が若い女性に憧れる、よくあるテーマの小説。

この歳になると。そんなことしか書けませんので…。

地域の産業支援を本格的にやりだしてから、

コピーを前みたいに書けなくなったので、

その手慰みのつもりで書いています。