小説の続き書きました。遠いデザイン15-3 | 産廃診断書専門の中小企業診断士

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ふじのくにコンサルティング® 杉本剛敏 中小企業診断士事務所の杉本です。私はコピーライターとしてネーミングやコピーを作る一方で、中小企業診断士として企業のマーケティングを支援。2021年、2016年に静岡新聞広告賞受賞。これまでに提案した企画書は500を超えます。

遠いデザイン15-3

 

2001年 春

 

 また、日常にはいくつのもの覚醒が潜んでいた。郵送されてきた税金や生命保険の振り込み用紙、物干し竿に回っている自分の白いワイシャツ、ファミリーレストランで口にする一杯の余分なワイン、タンスの引出しにきちんと畳まれてあるハンカチの束、補助輪を外して走る娘の自転車を支える時の重み、そんな生活のつつましやかな切れ切れが、熱病に浮かされた中年男に何度も冷水を浴びせかけたが、それでも月の満ち欠けが引き起こす磁力に動かされるように、亮子のことを強く夢想する夜もあった。ふいに目覚めて読書灯を点すと、子供を挟んで寝返りを打つ妻の背中が仄白く浮かんだ。

 しかし、七瀬の潜在意識は、彼の気づかぬうちにこの現実と折り合いをつけてくれていた。それは一編のstoryの形となって妥協を迫った。失うものを最小限にとどめながら、同時に未来へささやかな希望をつないでくれるstory。それはこんな筋書きだった。

まず、亮子に電話を入れる。そして、どうしても話したいことがあるから、一度だけでいいから会ってくれないかと告げる。そう、場所は静かな音楽が流れるワンショットバーなんかがいいだろう。間接照明ならくたびれた顔もごまかせるし、年輩客が多い店ほどオレの若さが際立つだろう。適当な店を下見しておかなくては。そして彼女が指定した場所まで車で迎えにいく。服装はカジュアルなものにして、白髪も目立つほどではないがヘアカラーで染めておく。疲れた顔を見せないように前日には充分に睡眠をとること。栄養ドリンクなんか飲んでおくのも効果的だろう。そしてきれいな色のカクテルに目を落としながらこう切り出す。

『驚かないで聞いてくれ、じつは、オレ、川奈さんのことが好きになってしまって……。もう仕事も手に着かないほどなんだ。妻子がいて、いいトシをして、こんなことを言い出すのはとても恥ずかしいし、勇気がいることなんだけど、どうしてもこの気持ちを伝えたかったんだ』

 

 

遠いデザインとは、遺伝子の設計図のこと。

 

14年前の2001年が舞台。

中年男が若い女性に憧れる、よくあるテーマの小説。

この歳になると。そんなことしか書けませんので…。

地域の産業支援を本格的にやりだしてから、

コピーを前みたいに書けなくなったので、

その手慰みのつもりで書いています。