遠いデザイン 4-1 | 産廃診断書専門の中小企業診断士

産廃診断書専門の中小企業診断士

ふじのくにコンサルティング® 杉本剛敏 中小企業診断士事務所の杉本です。私はコピーライターとしてネーミングやコピーを作る一方で、中小企業診断士として企業のマーケティングを支援。2021年、2016年に静岡新聞広告賞受賞。これまでに提案した企画書は500を超えます。

前回(3-7)の続き

 

 結婚情報誌の入稿を終えた七瀬を待っていたのは、JA西南が立ち上げたブランド化事業の追い込みだった。県西部三市五町にまたがる集荷エリアの中から、品質や食味、出荷量などを基準に有望な農産物を選定し、地域ブランド品に仕上げるというプロジェクトだった。商品の付加価値を上げることは、首都圏マーケット開拓の前提でもあった。

 プロジェクト自体はメディア通信社という広告代理店が音頭をとって、すでに一年以上も前から進められていた。七瀬も外注のコピーライターとして当初からこのプロジェクトに参加していたが、難航していたブランドのロゴマークがようやくJA役員会から承認され、いよいよ印刷物の制作という段階にくると、メディア通信社の営業課長である三谷から、仕切り役を押しつけられてしまった。

 複数の印刷物を同時に制作するということもあって、JAの方も営業の三谷より、制作に明るい七瀬と直接仕事を進めた方がいいと判断したのだろう。

 パンフレットの制作から始まって、当初、老眼が進んだ初老の男性職員が担当していたが、すぐに若い女性職員へと替わった。それが川奈亮子だった。

 亮子は、七瀬が素直にきれいと思えるような女性だった。もちろん、彼のように長く広告の仕事に携わってきた者なら、きれいな子は見慣れているし、今までに収集してきた美人のサンプルも普通の男より多いはずだ。しかし、亮子を一目見た瞬間、七瀬の心に飛び込んできたのは変化球ではなく、まさに直球だった。彼女はメディアに群がる業界の女の子たちとは明らかに違う匂いをもっていた。

 どちらかといえば古風な顔立ちで、言葉の端々にイントネーションの違いが見られたが、それがかえって、どこかに温存されていた土地だとか、時間だとか、そんなものの奇跡のさじ加減を七瀬に思わせた。



遠いデザインとは……
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年前の2002年が舞台。
中年男が若い女性に憧れる、よくあるテーマの小説。

この歳になると。そんなことしか書けませんので…。
地域の産業支援を本格的にやりだしてから、
コピーを以前みたいに書かなくなったので、その手慰みのために。