遠いデザイン 3-7 | 産廃診断書専門の中小企業診断士

産廃診断書専門の中小企業診断士

ふじのくにコンサルティング® 杉本剛敏 中小企業診断士事務所の杉本です。私はコピーライターとしてネーミングやコピーを作る一方で、中小企業診断士として企業のマーケティングを支援。2021年、2016年に静岡新聞広告賞受賞。これまでに提案した企画書は500を超えます。

前回(3-6)の続き


膳台を抱えた調理場の男の姿がモデルの女の肩越しに見えた。撮影用の料理ができ上がったと思い、会食個室に戻りかけた七瀬にまたモデルが声をかけた。

「じゃあ、これから七瀬さんに教えてもらおうかな。その地方の広告業界での生き残り方について……お昼の時には、じゅうぶんにお話し、できなかったし」

 女は七瀬の胸元に手を差し出して「め・い・し」とつぶやいた

ジャケットの内ポケットを探ったが、入っているはずの名刺入れが見当たらない。

七瀬は一つ前のカットで、花屋のオーナーと名刺交換して、そのまま名刺入れをテーブルに置き忘れていることに気づいた。

七瀬はエレベーターに向かった。モデルはその後ろ姿を眺めつつ、微かに白い歯を見せた。それから会食個室に向かって歩きはじめた。

膳台を抱えた若い調理場の男たちが、廊下の奥から歩いてきたモデルに気づいて足を止める。剃り残しの髭が目立つ青白い両頬をすぼませて、その中の一人が野卑な口笛を投げつけるように吹いた。