加賀平野を潤し流域の人々に多くの恵みをもたらす「手取川」、その一方で、急流・天井川ゆえに、度々洪水を起こす「荒ぶる川」とも呼ばれ、今から80年前の1934年(=昭和9年)7月11日に活発な梅雨前線による記録的な豪雨と、残雪による融雪出水で大氾濫となり、死者・行方不明者112人、約2,000haの耕地が埋没する未曾有の惨事となった。


今年の梅雨も各地で甚大な被害が発生している。台風8号の暴風域圏から遠く離れた地域で豪雨が降り続き、土石流や河川氾濫が発生し、今も避難指示が出ている地域もある。


手取川は、1966年に一級河川に指定され、水衝部の補強、堤防の嵩上げなどの治水事業が進められ、1968年に大日川ダム、1980年に手取川ダムが完成し、多くの先人の尽力により、現在は河川氾濫による被害も激減した。また、今年5月に能美市内に竣工した児童館の屋上に、洪水に因る被害を想定した避難所を設けるなど、自治体も自然災害対策を積極的に進めている。


しかし、時に自然は想定外をもたらす。東日本大震災でも、過去の津波で被害が無かったから大丈夫と避難しなかったことで、犠牲になった方も多いと聞く。万一の時は、災害情報を入手し、早めに安全な場所に避難することが大事であり、その備えとして各地で防災教育や防災訓練などが行われている。


80年前の惨事を繰り返さないためにも、自助・共助・公助、夫々の役割をしっかりと活かせるよう取り組んでいく。


手取川大洪水から80年