「新幹線停車駅で降り、初めて目にする駅前の情景に、街の特長や歴史が醸し出されることが大切であり、その後の観光客の増減に影響する」と、ある著名なエコノミストは唱えている。

北陸新幹線開業を控えるJR金沢駅周辺の東口側には、おもてなしの心を表現したガラス張のドーム、加賀百万石を象徴する鼓門。西口側には、放送局や銀行、商業施設の建設が進んでいる。新幹線を利用するお客様を県内各地へ誘う玄関口、金沢駅前の情景は、新幹線開業効果を加賀・能登など県内全域の効果波及にも影響することから、その役割は重責である。


全国の新幹線停車駅の全ての駅前が活気づいた訳ではなく、苦労している事例も少なからずある。また、新幹線駅最寄りの温泉郷の客数が伸び悩み、遠く離れた地点にある温泉郷の客数が増えた事例もある。


「観光地・商業地の入り込み客数の増減は、新幹線駅との距離ではなく、その場所にしかない、その場所でしか味わえない特長や魅力を、如何にして顧客に伝えるかで決まる。最寄りだからと安閑とせず、遠方だからと諦めず」とも、前述のエコノミストは提唱している。遠方であれば2次交通アクセス、賑わいの創出にはリピーターの確保がキーとなってくる。


開業効果には、交流人口拡大だけではなく、定住人口拡大、言い換えれば「移住者の推進」もある。新幹線通勤を利用して、首都圏から庭付きの家が持てる地方都市へ移住する人が増えている。石川は首都圏への通勤圏とはならないまでも、自然災害が少ない、四季折々の風情、食・文化、高い教育レベ等々、永住地として誇れる魅力が盛り沢山ある。


一年後に迫る北陸新幹線金沢開業に向け、様々な施策が加速している。その効果を開業直後だけではなく、長く太く続けていくことが本位であり、ハード・ソフトにと「石川らしさ」を追い求めていきたい。


石川らしさ