
『怪笑小説』『毒笑小説』『黒笑小説』に続く東野圭吾のブラックユーモア小説の第4弾です。
この巻は出版業界の内幕を暴露した短編小説が連続ドラマになっています。1篇だけホロリ


とにかく売上に繋がる小説を書く作家先生のために、血と汗と涙を流して滅私奉公する編集者達の姿を描き出しています。これでもかっってばかりに

3年前の私ならお腹を抱えて笑っていましたが、今現在はあんまり笑えなかったなあ~。
その理由は2つあります。1つは、出版社が書籍の売上を伸ばすために汲々としていること。確かにね~会社にとって『売上アップ』は至上命題ですもんね。全然金額の桁数が違いますが、かくいう私も1日20時間くらい弊事務所の売上アップについて考えています。前年より今年!先月より今月!昨日より今日!って、100円だけでもアップさせたいっ

2つ目の理由は、出版社の編集者達が自社のために一生懸命人気作家の先生たちを囲い込もうと競っていること。。本当に売れっ子になる作家なんて、数少ないです。それ以外は編集者が目利きをして若い小説家を赤字覚悟で売り出して育てるしかないのです。編集者達の作家を見る目が辛辣で辛かったですね。。
というのも、私たち税理士業界にも似たようなことがあるからです。大規模な会計事務所を経営している税理士や、地域に顔の効く大物税理士を周辺業界の業者さんたちは一生懸命囲い込みます。食事やゴルフ、旅行などに付き合って親睦を深め、業務提携をしようと必死です。そうすることによって保険の契約の紹介、不動産の購入案件の紹介などしてもらえるから。。常にお金の流れる先端に偉い税理士がいて、その舵取りをしているから。囲い込んでおくと大きく利益をもたらしてくれるから。。です。
出版会社が人気作家を囲い込むことと同じです。
逆に言えば売れない作家(紹介案件のない税理士)は持て余してしまうってことですね。売れない小説を出版して赤字を被るのは出版社なので。。でも今売れなくても、将来売れっ子になるかもしれないので、ある程度は我慢して育てないといけない。。
今の私にとってはこれも『全然他人事』じゃないので、いたたまれませんでしたよ~。。。
でもまあ、しいて面白かった短編を挙げると『小説誌』というのが良かったな。中学生が出版社に職場見学に来て、『なぜ月刊小説誌を赤字覚悟で発刊するのか?』と鋭い質問を浴びせる内容です。そう、確かに大昔、私も『月刊カドカワ』なんかを読んでみて、全ての小説が途中からしか読めないので『面白くない。意味分かんない』と1回買って挫折しましたからね~。その答えは『作家先生達に印税を1回多く稼がせる為』なのでした。最初から書き下ろしを単行本にするより、その前に1度小説雑誌に掲載する方が、作家にたくさん印税が入るからとの理由です。
う~ん。印税かぁ。私ももっと売れっ子税理士になって、できることなら税法の本でも出版してみたいものですなぁ(来世か来々世に生まれ変わらないと無理か)。。