本日は、本を一冊紹介します。
数ヶ月前、本屋さんで平積みになっていたのを購入したビジネス書。
タイトルは「話す技術・聞く技術」です。
ハーバード大学で研究されている、交渉術をテーマにした本ですが、交渉術というよりは上手なコミュニケーションの解説本…と言えるかも知れません。私はすごく勉強になりましたので、あなたにもご紹介させていただきます。
世の中の人々は、私も含めて自分の基準で他人のことを「非常識だ」とかなんとか、勝手に判断しがちです。それを相手に直接言うとなれば、相手だってもちろん「私はおかしくなんかない、余計なお世話だ」と反発することでしょう。
そこで、この本には相手をそんな風に憤慨させずに、お互いに協力しあって問題を解決(可能な限りwin-winになるような)するための論理と、それらの具体的な会話がたくさん紹介されています。
その論理とは、こんな内容です。
・例え相手が悪くても、責めてはいけない。
・相手がそう考えるに至った、本当の理由や事情を理解する必要がある
・自分がどう感じているかを伝え、相手がどう考えているのかを、互いに知ることが第一歩
読んでみると、ふーん。と、当たり前のような気がしますが、私は誰かと喧嘩したときは、必ず自分の事情や気持ちを押し付けたり、押し付けられていたりしていたと、この本を読んでいて人生で初めて気がつきました。
それまでも私は相手の話を聞いているつもりでしたが、それでいて「私は絶対間違ってない、だからやっぱり相手が自分の言うことを聞くべきだ」という頑なな気持ちを、決して手放していませんでした。本当の意味では、相手の話を聞いてなかったのです。
まじで?
確かに、「私は間違ってない」のかも知れませんが、相手には相手の事情や気持ちがあるということを、私は無視していたのです。実際にやってみると、これはすごく難しいことのようなのです。
少し視点を変えた話をします。
勤務先でこんな出来事がありました。
事務所内にある自販機で飲み物を買った誰かが、お釣り100円を取り忘れました。
それを拾った親切な別の誰かが「誰かお釣り取り忘れた人がいるよ?」と持ってきてくれましたが、その場にいた人達はみな首をふるふると横に振り、持ち主は現れませんでした。
それを見ていた男性社員Aさんが、拾ってくれた人のことを「○○さんは正直で親切だな、俺だったらラッキーって、黙ってもらっちゃうけどな。」と言いました。
すると、それを隣で聞いていた女性社員Bさんは、「そんなの、犯罪者ですよ!あなた気持ち悪い!私、そんな人と働きたくない!」と大きな声で咎めました。
これは、意見が分かれるところですね。
あなたはどちらのタイプでしょう?
男性社員Aさんと同じだな、
自分はもらっちゃうな。ラッキーじゃん。
というほうでしょうか。
あるいは、
女性社員Bさんのタイプ?何があっても、決して人様のものに手などつけない。ネコババなんて許されない。という真面目な方でしょうか。
私は男性社員Aさんと同じかな…。
もし、金額がもっと大きければ、さすがに気が咎めて届けでるでしょうが、100円だったら、ワーイ、ともらってしまうかも知れません。だとしたら、女性社員Bさんは、うす汚れた犯罪者・ipocoとは、口もききくないかも知れません。
そのとき私は黙って聞いていただけで、Aさん・Bさん達の会話に加わってはいなかったのですが、
正直なところ「気持ち悪い!」と言った、正しいはずの女性社員Bさんに対し、あまりいい気持ちがしませんでした。
彼女に対し、
「ああ、Bさんって一緒にいて疲れる人だな。大体、気持ち悪いって…じゃあ、あなたはいつでも清廉潔白ってわけ?自分のその神経質な思想は全く健全で気持ち悪くないってわけ?」という、意地悪な気持ちがムクムクと湧き上がってきました。幸い、罵られた男性社員Aさんは大らかな人で、その程度のことにキリキリするタイプではなかったためか反論はなく、そこで二人の会話は終わりました。
しかし、うっかり聞いてしまった私は、自分には関係のない会話だというのに、その後も「何で彼女は、いつもああいうどうでもいいことでキツイ言い方するんだろ?」とひとり悶々としていました。
でも、何がいけないというのでしょう?
女性社員Bさんは間違ってないのです。
拾ったお金は自分のものではない。彼女はそういう正しい意見を主張しただけなのです。
少し考えていてわかったことは、私は女性社員Bさんの「私は正しい、私は間違ってない、あなたは私と違う考え方だから気持ち悪い」という意見を間接的にではありますが、押し付けられた…と感じていたのです。
彼女のルールが正しかったのは彼女と刑法犯罪の世界のことで、私の世界では通用しなかったたけのことなのです。
そう思うと、そんなに悶々とする必要もなくなった気がしました。
あなたは、そんなことありますか?
もしよかったら、ぜひipocoにも、あなたの気持ちを教えてください。