千葉の駐車場で3人刺され重軽傷 | id120のブログ

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けど、そうだね。魔術士としての格を問われれば、私は君達よりは遥かに格下だよ。だけど」オメガ シーマスター アンティーク

 ユグドラシルからふいにざわつくものを感じて、ライフレスは距離を取った。恐怖など感じないはずのライフレスの体に、緊張が走る。

「なんだ、これは。貴様は一体」
「ああ、私の魔力に反応したんだね。流石にその体だけの事はある。そう、私は魔術としては格下だ。だが」

 そこからの言葉はライフレスのみが聞く所となった。その言葉に、いついかな戦場にても晒した事のなかった英雄王の顔色が変わる。

「き、貴様貴様は!」
「英雄王、心しろ。貴様の選択はここから先、非常に重要になる。今回の騒動の主、サイレンスは必ず殺さなくてはならない。奴を殺せる可能性が一番高いのは、貴様なのだ。他の誰にも、そうオーランゼブルですら奴を殺すだけの方法を持ち合わせない。だが奴はオーランゼブルがいようがいまいが、サイレンスはその本質に変わりはないのだ。奴は人間を殺し尽くすまで止まらない」
「一体何の話をしている!?」
「いずれわかる時が来る。私の言葉を覚えておくといいだろう。いいか、サイレンスは必ず殺せ。あれは存在そのものが何も生み出さない者だ。生かしておいて誰の特にもならん」

 それだけ言うとユグドラシルは姿を消した。後には呆然としたライフレスが残される。

「く奴は何を偉そうに。だが、奴の言う事が真実だとしたら俺はとんでもない奴と会話をしていたのか? だがサイレンスとは」
omega シーマスター アクアテラ
 サイレンスの事は誰も知らない。オーランゼブルに選抜されるほどの魔術士でありながら、その素性に関しては10人の中では最も謎である。
 今回のスラスムンドの崩壊に関しても、ほとんど抑止力が効かなかったのは裏がある。それはサイレンスの魔術の特性――多数の人間に模した人形を操ることで、その人心を操作したことにある。サイレンスは時間をかけて、スラスムンドの要職についていた人間を自分の人形と交換していった。そして今回の出来事が起きたのである。
 火災を起こしたのは人形。御丁寧に、それぞれの建物にはちょっとずつよく燃える物、燃料を配置していた。そしてビュンスネルの建物には窓が少ない。これは脱出経路を未然に塞ぐため。そして建物の間も普通の街より狭かった。これは火がよく燃え移るようにするため。そして国の首都でありながら、街と外をつなぐ門は四カ所しかないという、予めこの末路を辿るために設計された街とも言えた。
 そして火災が起きた時、命令を下すべき人間達は全て人形、あるいは人形が始末していた。サイレンスの手があまり加わっていない人間達は前日の宴で一同に集められ、そのおおよそがグンツの手によって始末されている。こうしてビュンスネルはまたたく間に滅びたのだった。この一連の流れはなんとなくサイレンスは知っていた。このスラスムンドはずっと前からサイレンスの所有地であるから、魔王をあまり放つなと命令されていたのだ。その時にライフレスが少し調べていたのである。
 だが、現在のサイレンスの計画についてはどうか。具体的な事に付いてはそれぞれの仕事の事を知っているのはオーランゼブルと、せいぜいヒドゥンくらいである。サイレンスがどこで何をしているかは、ライフレスは知らないのだ。

「調べる必要があるのか?」

 ライフレスは炎上するビュンスネルの上、その熱気も気にならぬほど真剣に思考を始めるのだった。


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