『秘策』

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友人同士がケンカした。
一方は負けたくない一心で、親、金、力、ケンカの原因とはまったく関係のない要素を駆使してその仲を悪化させた。
表向きその効果は絶大だった。
その様子を静観していたクラスメイトは、ねじ伏せられ、一方的な敗北に追い込まれた友人に同情した。
こうしてマウントをとったハズが孤立してしまった。
1対1だったケンカは、一方の反則が裏目に出て、クラスメイト全員から外される結果になった。
大きくなったケンカのそもそもの原因すら見失い、その原因、どちらが先に仕掛けた、その原点はもはや意味を持たず、ただの仲間外れ状態。
これではいけないことは皆がわかっていた。
しかし、解決に向けるキッカケやその切り出し方がわからなかった。
孤立した友人は、プライドが高くその性質が意固地を加速させる。
敗北に追い込まれた方の友人は担任に事情を打ち明けた。
「じゃ、先生が彼の味方になる。なら、クラスメイト全員対2人になるよね。どういう理由であれ、ひとりをハズすことは良くないとあなたを責めるから、あなたは責めた私に反論しなさい。味方ができることで、彼は意固地になるのをやめるハズだから、タイミングを見て話し合いにしよう。」
先生は、思っていたより強く敗北した方の彼を責めた。
孤立した方の彼が一瞬緩むのを見逃さなかった先生は、話し合いの時間を設けた。
先に謝ったのは、敗北した彼だった。
つられるように孤立した彼は、「僕の方こそゴメン。」と言って泣いた。
ハズされた立場から解放された安堵の涙だと思う。
この一件で、クラスは団結した。
大人になった今も、3年に1度のクラス会を開いている。担任も参加の。
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