初めて会った人なのに、普段は警戒心・猜疑心を持つのに、彼にはそれがない。
最初から、一言目、一目見たときから。
ずっと、知り合いのように、古くからの友人のように言葉に詰まらず、緊張感がなく、穏やかでいられる。

その空気が、相手に伝わっているのも感じる。

自分を良く見せる必要もなく、逆に落ち度を話題にできる人。
"本当に初対面?"それも問いかけることができる。
"同じことを思ってた。"と応える彼。
親しくなっていくと言い出し難いこと、年齢や恋人の有無、結婚、子供...それらも、話題に絡ませて、まるで知ってほしいかのように話す。

彼も同じようにしてくれるから、あえて、改まって質問することもない。

相手が聞きにくいと感じるから自分から切り出す。そんな感じで...

本当に不思議で仕方ない。
見てきたものも、育ちもまったく違うのに...

"たぶん、私たちは、前世のいつか、兄妹だったか、夫婦だったかだね。"

"たぶん、夫婦だろ。なにかの理由で離れてしまって、今、こうして再会したんだろう。"なんて。
"なら、素敵ね。""久しぶりだな。"
ふたりで笑った。